
カンボジアへの旅行や出張を計画する際、多くの方がカンボジアのeビザ申請方法について調べることでしょう。申請にはオンラインで行う便利な方法のほか、現地到着時に取得するアライバルビザといった選択肢も存在します。
しかし、どの方法が自分に合っているのか、料金はいくらかかるのか、申請から取得まで何日を要するのか、そしてどのような写真を用意すればよいのか、疑問点は尽きないかもしれません。
この記事では、それらの疑問に一つひとつ丁寧にお答えし、あなたがスムーズにビザを取得できるよう、必要な情報を分かりやすく解説していきます。
記事のポイント
- 3つの主要なビザ申請方法とその特徴
- 申請に必要な書類や料金、所要日数
- 注意すべきパスポートの条件や新制度
- 自分に最適な申請方法を見つけるヒント
カンボジアのeビザ申請方法の主な選択肢
- 最も手軽なオンラインでの申請
- 大使館で直接ビザを申請する
- 空港でのアライバルビザ取得とは
- 申請に必要な写真の規定
- ビザの種類と料金について
- ビザ取得まで何日かかるのか
最も簡単なオンラインでの申請

カンボジアのビザを取得する方法の中で、最も手軽で推奨されるのがオンラインでの電子ビザ(e-Visa)申請です。この方法は、日本にいながらパソコンやスマートフォンを使ってすべての手続きを完了させられるため、時間や場所を選ばないという大きなメリットがあります。
申請は、カンボジア外務国際協力省の公式ウェブサイトから行います。サイトは日本語にも対応しているため、英語が苦手な方でも比較的安心して手続きを進めることが可能です。
申請プロセスでは、必要情報の入力、パスポートの顔写真ページのデータ、そして証明写真のデジタルデータのアップロードが求められます。
一方で、注意点も存在します。公式ウェブサイトを装った代行業者や非公式サイトを通じて申請すると、正規料金に高額な手数料が上乗せされたり、最悪の場合ビザが発給されなかったりするトラブルが報告されています。申請する際は、必ず公式サイトのURLであることを確認することが大切です。
以上の点から、渡航前に余裕をもって手続きを済ませたい方や、オンラインでの手続きに抵抗がない方にとって、e-Visaは非常に便利な選択肢と言えます。
大使館で直接ビザを申請する

オンラインでの手続きに不安を感じる方や、紙媒体で確実にビザを取得したい方には、日本国内にあるカンボジア大使館や名誉領事館で直接申請する方法があります。この方法の最大のメリットは、担当者に直接書類を提出し、不明点を確認しながら手続きを進められる安心感です。
申請窓口は、東京のカンボジア大使館のほか、大阪、名古屋、福岡、仙台にある名誉領事館に設けられています。窓口で申請用紙を受け取ってその場で記入することもできますが、事前に公式サイトからダウンロードして記入を済ませておくと、手続きがより円滑に進みます。
ただし、大使館や領事館の窓口が開いている時間は限られており、通常は平日の午前中のみ申請を受け付けている場合が多いです。
また、申請から受領までに数日を要するため、お住まいの地域によっては複数回足を運ぶ必要が出てくるかもしれません。郵送での申請に対応している場合もありますので、訪問が難しい方は事前に各公館へ問い合わせてみるとよいでしょう。
このように、直接申請は確実性が高い一方で、時間や地理的な制約があるため、ご自身の状況に合わせて検討することが求められます。
在大阪カンボディア王国名誉領事館
在福岡カンボジア王国名誉領事館
在仙台カンボジア王国名誉領事館
在日本国カンボジア王国大使館
空港でのアライバルビザ取得とは

アライバルビザとは、その名の通り、カンボジアの国際空港に到着した際に現地で取得するビザのことです。事前にオンラインや大使館で申請する手間が省けるため、急な渡航が決まった場合や、事前の手続きを忘れてしまった場合に便利な選択肢と考えられます。
プノンペン、シェムリアップ、シアヌークビルの各国際空港で取得が可能です。以前は紙の申請書に記入していましたが、現在は手続きがオンライン化され、空港の無料Wi-Fiに接続して自身のスマートフォンで申請するか、空港に設置されたタブレット端末を利用して申請する形式に移行しています。
この方法のデメリットは、空港の混雑状況によってはビザカウンターで長時間待たされる可能性があることです。特に多くのフライトが到着する時間帯は、長い列ができることも少なくありません。
また、万が一書類に不備があったり、システムトラブルが発生したりした場合、日本語が通じない環境で対応する必要があるため、語学に不安がある方には心理的な負担が大きくなる可能性があります。
したがって、アライバルビザは手軽である反面、不確実性も伴うため、時間に余裕があり、現地での対応に不安がない方向けの方法と言えます。
申請に必要な写真の規定

カンボジアのビザ申請において、写真は非常に重要な提出物の一つです。規定に合わない写真を提出すると、申請が受理されない可能性があるため、事前に要件をしっかり確認しておく必要があります。
オンライン(e-Visa)申請の場合
オンラインで申請する際は、写真のデジタルデータが必要です。スマートフォンの自撮りでも問題ありませんが、以下の条件を満たすように準備してください。
- ファイル形式:JPEGまたはPNG
- ファイルサイズ:2MB以内
- 背景:無地(白が望ましい)
- その他:最近3ヶ月以内に撮影された、顔がはっきりとわかるもの
大使館・アライバルビザ申請の場合
大使館での申請や、現地空港でアライバルビザを取得する際には、印刷された証明写真が必要です。
- サイズ:縦45mm × 横35mm(パスポートサイズ)
- 背景:無地(白が望ましい)
- その他:最近3ヶ月以内に撮影されたもの
どちらの申請方法を選ぶにしても、写真が古かったり、顔が髪や影で隠れていたりすると、本人確認ができないとして再提出を求められることがあります。スムーズなビザ取得のためにも、規定に沿った写真をあらかじめ用意しておくことが肝心です。
ビザの種類と料金について

カンボジアへ渡航する際に取得するビザは、主に観光目的の「観光ビザ(T-Visa)」と、ビジネスやボランティアなど観光以外の目的で使用される「商用ビザ(E-Visa)」の2種類です。どちらも初期の滞在可能日数は最長30日間ですが、料金やその後の延長の可否に違いがあります。
申請方法によっても料金は変動します。以下に、申請方法ごとの一般的な料金をまとめました。料金は米ドルで設定されていることが多く、大使館での支払いは日本円となりますが、為替レートによって変動する点にご留意ください。
申請方法 | ビザの種類 | 料金 | 備考 |
オンライン (e-Visa) | 観光 (T) | 36米ドル | 申請料30ドル+システム手数料6ドル |
商用 (E) | 42米ドル | 申請料35ドル+システム手数料7ドル | |
アライバルビザ | 観光 (T) | 30米ドル | 現地空港で現金(米ドル)払い |
商用 (E) | 35米ドル | 現地空港で現金(米ドル)払い | |
在日カンボジア大使館・領事館 | 観光 (T) | 5,000~5,400円 | 大使館・領事館により異なります |
商用 (E) | 4,900~6,200円 | 大使館・領事館により異なります |
ご覧の通り、アライバルビザが安価ですが、前述の通りデメリットも存在します。オンライン申請は若干割高になるものの、利便性が高いです。大使館での申請は日本円で支払える点が特徴です。ご自身の予算や利便性を考慮して、最適な方法を選択してください。
ビザ取得まで何日かかるのか

ビザ申請を計画する上で、取得までにかかる日数を把握しておくことは非常に大切です。申請方法によって所要日数は異なるため、渡航スケジュールに合わせて余裕をもった準備が求められます。
オンラインでe-Visaを申請した場合、通常は申請完了から3営業日以内に処理が完了し、承認されたビザがEメールで送られてきます。ただし、申請内容に不備があった場合や、申請が集中する時期には、それ以上の日数がかかる可能性も考えられます。
在日カンボジア大使館や名誉領事館で申請した場合も、一般的には申請から3営業日ほどでビザが発給されます。しかし、郵送での手続きを利用する場合は、往復の郵送期間も考慮に入れる必要があります。
アライバルビザは、現地空港のカウンターで即日発給されます。しかし、手続き自体にかかる時間は、空港の混雑状況に大きく左右されるでしょう。スムーズに進めば30分程度で完了しますが、混雑時には1時間以上待つこともあり得ます。
どの方法を選択するにしても、予期せぬ遅延の可能性を考慮し、少なくとも出発の1週間前までには申請を完了させておくことをお勧めします。
確実なカンボジアのeビザ申請方法と注意点
- 新制度e-Arrivalカードの登録
- パスポートの有効期限を確認
- 東南アジアでビザが必要な国とビザなしの国
- まとめ:カンボジアのeビザ申請方法の要点
新制度e-Arrivalカードの登録

カンボジアへ渡航するすべての人は、ビザとは別に「カンボジアe-Arrivalカード」のオンライン登録が義務付けられています。これは、これまで紙で提出していた出入国カード、税関申告書、健康申告書を一つにまとめたデジタルシステムです。
この手続きは、カンボジア到着日の7日前から専用の公式サイト(www.arrival.gov.kh)または公式アプリを通じて行います。登録は無料で、ビザの有無にかかわらず、カンボジア国籍者を含むすべての渡航者が対象となります。
手続きを完了するとQRコードが発行されるので、カンボジア到着時に入国審査官にパスポートやビザと共に提示する必要があります。e-Visaの申請とは全く別の手続きであるため、ビザを取得した後、忘れずにe-Arrivalカードの登録も済ませておきましょう。
もし事前に登録を忘れてしまった場合でも、空港に設置されたタブレットでその場で行うことは可能です。しかし、余計な時間と手間を避けるため、日本を出発する前に済ませておくのが賢明です。
パスポートの有効期限を確認

カンボジアのビザを申請する際、大前提となるのがパスポートの有効期限です。有効期限が不足していると、ビザ申請が受理されないだけでなく、航空会社のチェックインカウンターで搭乗を拒否されたり、カンボジア到着後に入国を拒否されたりする可能性があります。
カンボジア入国に必要なパスポートの残存有効期間は、カンボジアへの入国予定日から起算して6ヶ月以上と定められています。例えば、4月1日に入国する場合、パスポートの有効期限が同年10月1日以降でなければなりません。
また、1年間有効の数次(マルチ)ビザなど、長期のビザを取得する場合は、さらに注意が必要です。この場合、「取得したいビザの有効期間+6ヶ月以上」の残存期間が求められます。つまり、1年間のビザを取得するには、パスポートの有効期限が最低でも1年6ヶ月以上残っていることが条件となります。
渡航を計画し始めたら、まず最初に自身のパスポートの有効期限を確認する習慣をつけることが、スムーズな海外渡航の第一歩です。
東南アジアでビザが必要な国とビザなしの国

カンボジア旅行とあわせて、近隣の東南アジア諸国を周遊する方も多いでしょう。その際、各国のビザ(査証)規定を事前に把握しておくことが、スムーズな旅行計画の鍵となります。国によって、ビザが不要な場合、特定の条件下で免除される場合、事前の取得が必須な場合があるためです。
例えば、日本のパスポート保持者の場合、以下の国々では短期の観光目的であればビザなしでの滞在が許可されています。
タイ(60日以内)
マレーシア(90日以内)
シンガポール(30日以内)
ベトナム(45日以内)
フィリピン(30日以内)
ラオス(30日以内)
ブルネイ(30日以内)
一方で、下記の国々では観光目的であっても事前のビザ取得が必要です。
ミャンマー(ビザまたはe-Visa)
インドネシア(VOAまたはe-VOA)
カンボジア(ビザまたはe-Visa)
東チモール(空港到着時、陸路入管事務所でビザ取得)
このように、同じ東南アジア地域でも国ごとにルールは大きく異なります。複数の国を訪問する際は、それぞれの国の最新のビザ要件を各大使館のウェブサイトなどで必ず確認し、必要な手続きを怠らないようにしましょう。
まとめ:カンボジアのeビザ申請方法の要点
この記事のポイントをまとめます。
✓ カンボジア入国にはビザが必須
✓ ビザ申請方法は主にオンライン、大使館、アライバルビザの3つ
✓ オンライン申請(e-Visa)が最も手軽で推奨される
✓ e-Visaは公式サイトから申請し、偽サイトに注意
✓ 大使館申請は確実だが時間と場所の制約がある
✓ アライバルビザは現地空港で取得可能だが混雑やトラブルのリスクも
✓ ビザは観光目的(T-Visa)と商用目的(E-Visa)がある
✓ 申請方法により料金は異なる(30ドル~4,900円程度)
✓ 申請には規定を満たす写真(データまたは印刷)が必要
✓ ビザ取得には通常3営業日ほどを見込む
✓ パスポート残存有効期間は入国時6ヶ月以上が必須
✓ 長期ビザは「ビザ期間+6ヶ月」の残存期間が必要
✓ ビザとは別にe-Arrivalカードの無料登録が全員に義務付けられている
✓ e-Arrivalカードは到着の7日前からオンラインで登録する
✓ 自分に合った申請方法を時間的余裕をもって選択することが大切