
初めてのバンコク旅行、航空券を予約しようとした時に「タイの空港はどっちを選べば良いのだろう?」と迷った経験はありませんか。
バンコクには2つの主要な国際空港が存在するため、旅の計画で最初の壁になることも少なくありません。市内への移動手段や空港での過ごしやすさは、旅の満足度を左右する大切な要素です。
空港間の移動時間や、空港直結ホテルの有無、さらには免税店の品揃えやラウンジの充実度まで、気になる点は多いはず。この選択で失敗や後悔をしないためにも、両空港の違いを正確に理解しておくことが、快適なタイ旅行の第一歩となります。
記事のポイント
- スワンナプーム空港とドンムアン空港の基本的な違い
- バンコク市内へのアクセス方法と料金の比較
- 免税店やラウンジなど空港施設の充実度の違い
- あなたの旅行スタイルに最適な空港の選び方
タイ旅行の空港はどっち?2大空港の特徴を比較
- スワンナプーム空港の概要と特徴
- ドンムアン空港の概要と特徴
- バンコク市内への移動手段と料金比較
- 就航エアラインの違いと特徴
- 空港間の移動時間とシャトルバス情報
スワンナプーム空港の概要と特徴

スワンナプーム国際空港(空港コード:BKK)は、タイの空の玄関口として機能する国内最大の国際空港です。
2006年に開港した比較的新しい空港であり、その広大で近代的なデザインは多くの旅行者を魅了します。アジアと世界を結ぶハブ空港としての役割を担っており、世界中の主要都市から多数の航空会社が乗り入れています。
この空港の最大のメリットは、施設の圧倒的な充実度です。約90店舗の飲食店、約16カ所のラウンジ、高級ブランドが軒を連ねる免税店、さらにはマッサージやスパ施設まで完備されており、乗り継ぎの待ち時間や出発前のひとときを快適に過ごせます。
また、バンコク市内中心部から約30km東に位置し、後述するエアポートレールリンクを利用すれば渋滞を避けて迅速に市内へアクセスできる点も大きな魅力です。
一方で、デメリットも存在します。空港が非常に広大であるため、搭乗ゲートまでの移動や、入国審査、手荷物受取に時間がかかる傾向があります。
特にピーク時には混雑が激しくなるため、時間に余裕を持った行動が求められます。また、空港内の物価は市内に比べてやや高めに設定されている点も留意しておくと良いでしょう。
ドンムアン空港の概要と特徴

ドンムアン国際空港(空港コード:DMK)は、スワンナプーム空港が開港するまでバンコクの主要空港として機能していた歴史ある空港です。
現在は主にLCC(格安航空会社)や国内線のハブ空港として、多くの旅行者に利用されています。バンコク市内中心部から北へ約20kmと、スワンナプーム空港よりやや市内に近い立地です。
ドンムアン空港のメリットは、そのコンパクトさにあります。空港内の移動が比較的シンプルで分かりやすく、入国審査や手荷物受取もスワンナプーム空港に比べてスムーズに進むことが多いです。
LCCの路線が非常に豊富なため、航空券の費用を抑えたい旅行者にとっては最適な選択肢となります。また、市内までのアクセスも良好で、タクシーやバス、鉄道を利用して短時間で移動が可能です。
ただし、施設の選択肢はスワンナプーム空港に比べると限られます。飲食店は約70カ所、ラウンジは約9カ所と十分な数はありますが、高級ブランドの免税店は少なく、ショッピングの楽しみは限定的です。
LCCの利用者が集中するシーズンや時間帯には、チェックインカウンターや保安検査場が大変混雑することもあるため、注意が必要です。
バンコク市内への移動手段と料金比較

バンコク市内への移動は、どちらの空港からも複数の選択肢があり、利便性に大きな差はありません。しかし、交通手段によって料金や所要時間、快適さが異なるため、ご自身の予算や荷物の量に合わせて選ぶことが大切です。
スワンナプーム空港(BKK)
交通手段 | 所要時間(目安) | 料金(目安) | 特徴 |
エアポートレールリンク | 約25~30分(パヤタイ駅まで) | 45バーツ | 最速で料金も安い。渋滞の影響を受けない。 |
タクシー(メーター・Grab) | 約40分~1時間 | 400~500バーツ | 目的地まで直行できる。グループや荷物が多い場合に便利。 |
エアポートバス | 約1時間 | 60バーツ~ | 路線によっては主要観光地へアクセス可能。料金が安い。 |
ドンムアン空港 (DMK)
交通手段 | 所要時間(目安) | 料金(目安) | 特徴 |
SRTレッドライン(鉄道) | 約20分(バンスー駅まで) | 33バーツ | 2021年開通。バンスー中央駅でMRT(地下鉄)に乗り換え可能。 |
タクシー(メーター・Grab) | 約30分~50分 | 350~450バーツ | 目的地まで直行できる。スワンナプームより若干安い傾向。 |
エアポートバス | 約30分~1時間 | 30~150バーツ | 路線が豊富で料金も安い。カオサン通りなどへ直通する便もある。 |
スワンナプーム国際空港からバンコク市内のアクセス方法(タイ国政府観光庁)
ドンムアン国際空港からバンコク市内へのアクセス方法(タイ国政府観光庁)
スワンナプーム空港からは、鉄道の「エアポートレールリンク」が最も時間を重視する方におすすめです。一方、ドンムアン空港からは「SRTダークレッドライン」を利用して主要な駅までスムーズにアクセスし、そこからMRT(地下鉄)に乗り換えることで、市内の様々な場所へ移動できます。
タクシーを利用する場合は、メーター制であることを確認しましょう。空港使用料(50バーツ)や高速道路料金が別途必要になる点も覚えておくと安心です。Grabタクシーは空港使用料が必要ありません。
バンコクは時間帯によって深刻な交通渋滞が発生するため、特に夕方の移動では鉄道を利用する方がスケジュール通りに行動しやすい場合があります。
就航エアラインの違いと特徴

利用する空港を選ぶ上で、最も直接的な要因となるのが就航している航空会社です。スワンナプーム空港とドンムアン空港では、乗り入れている航空会社の種類が明確に分かれています。
スワンナプーム国際空港 (BKK)
こちらは、フルサービスキャリア(FSC)と呼ばれる、従来型の航空会社が中心です。日本航空(JAL)や全日本空輸(ANA)、タイ国際航空といった大手航空会社は全てスワンナプーム空港に発着します。
これらの航空会社は、手厚い機内サービスや充実したアメニティ、広い座席などを提供しており、快適な空の旅を求める方に向いています。
近年では、ZIPAIR TokyoやPeach Aviation、タイ・ベトジェットエアといった一部のLCCも乗り入れており、選択肢の幅が広がっています。
ドンムアン国際空港 (DMK)
こちらは、タイ・エアアジアXやタイ・ライオン・エア、スクートといったLCCの拠点となっています。LCCは、機内食や受託手荷物などを有料化することで、非常に安価な航空券を提供しているのが特徴です。
旅行費用を少しでも抑えたい方や、短時間のフライトでサービスは最小限で良いと考える方には最適な選択肢と言えます。
以下の表に、日本からの主な直行便を運航する航空会社をまとめました。
空港 | 航空会社の種類 | 主な航空会社(日本からの直行便) |
スワンナプーム空港 (BKK) | フルサービスキャリア (FSC) | 日本航空 (JAL)、全日空 (ANA)、タイ国際航空 |
スワンナプーム空港 (BKK) | LCC (一部) | ZIPAIR Tokyo、Peach Aviation、タイ・ベトジェットエア |
ドンムアン空港 (DMK) | LCC (中心) | タイ・エアアジアX、タイ・ライオン・エア、スクート |
このように、利用したい航空会社がどちらの空港に就航しているかを確認することが、空港選びの第一歩となります。
空港間の移動時間とシャトルバス情報

バンコクで国内線に乗り継ぐ際など、スワンナプーム空港とドンムアン空港の間を移動する必要が出てくるケースも考えられます。両空港は約45km離れており、移動にはある程度の時間を見込む必要があります。
最も便利で経済的な移動手段は、無料で運行されている空港間シャトルバスです。このバスは、一方の空港からもう一方の空港へ乗り継ぎ便の航空券を持っている乗客が利用できます。
乗車時に航空券(eチケットの控えでも可)の提示が求められるため、あらかじめ準備しておきましょう。
バスの運行時間は朝5時から深夜24時までで、約30分間隔で運行しています。所要時間は通常であれば約50分から1時間程度ですが、バンコクの交通渋滞は予測が難しく、特に朝夕のラッシュアワーには1時間半以上かかることもあります。
このため、乗り継ぎには最低でも3〜4時間以上の余裕を持っておくことを強く推奨します。
シャトルバスの乗り場は以下の通りです。
- スワンナプーム空港: 2階到着ロビーの3番出口付近
- ドンムアン空港: 第1ターミナル1階到着ロビーの6番出口付近
もし無料シャトルバスの利用条件に当てはまらない場合や、運行時間外に移動する必要がある場合は、タクシーを利用することになります。料金は高速道路料金を含めて500〜600バーツ程度が目安です。
目的別で見るタイの空港はどっちが便利?
- 旅行スタイル別のおすすめ空港
- 免税店の充実度とブランドを比較
- 空港ラウンジの数やサービスの違い
- 空港直結・周辺ホテルを比較
- レートの良い両替所はどっちにある?
- まとめ:タイの空港はどっちを選ぶ?、旅の目的を明確にすることが最も大切
旅行スタイル別のおすすめ空港

どちらの空港を選ぶべきかは、あなたの旅行スタイルや目的によって大きく異なります。ここでは、いくつかのシナリオ別に最適な空港を提案します。
初めてのバンコク旅行や快適さを重視するなら
初めてバンコクを訪れる方や、空港での待ち時間も快適に過ごしたい方には、スワンナプーム国際空港がおすすめです。市内へのアクセス方法であるエアポートレールリンクは非常に分かりやすく、旅行初心者でも安心して利用できます。
また、充実したレストランやショップ、リラクゼーション施設があるため、万が一フライトが遅れても時間を有効に活用することが可能です。
航空券の費用を抑えたい、弾丸旅行なら
週末を利用した短期滞在や、とにかく旅費を節約したいバックパッカーにはドンムアン空港が適しています。LCCの利用で航空券代を大幅に抑えられる可能性があります。
空港自体がコンパクトなため、出入国手続きが比較的スムーズに進むことが多く、時間を有効活用しやすいのも魅力です。市内へのアクセスも良好なので、到着後すぐに観光を開始したいアクティブな旅行者にも向いています。
タイ国内の他の都市へ乗り継ぐなら
ドンムアン空港はタイ国内線のハブ空港としての機能が強いため、プーケットやチェンマイなど、タイの他の都市へ乗り継ぐ予定がある場合はドンムアン空港が便利なことが多いです。
特にLCCを利用して国内を周遊する計画であれば、国際線と国内線の乗り継ぎがスムーズに行えます。ただし、利用する航空会社によってはスワンナプーム空港発着の国内線もあるため、予約時に必ず確認することが肝心です。
免税店の充実度とブランドを比較

空港でのショッピング、特に免税店での買い物は旅行の大きな楽しみの一つです。この点において、スワンナプーム空港とドンムアン空港には明確な差があります。
スワンナプーム国際空港 (BKK)
ショッピングを楽しみたい方には、スワンナプーム国際空港が断然おすすめです。
空港内には巨大な免税店「King Power Duty Free」があり、化粧品、香水、お酒、タバコといった定番商品はもちろんのこと、Louis Vuitton、Gucci、Dior、Bulgariといった世界の名だたる高級ブランドのブティックが軒を連ねています。
タイを代表するシルクブランド「ジム・トンプソン」の商品も豊富で、市内の店舗より安く手に入ることもあります。
また、バンコク限定デザインのバッグを扱う「DEAN & DELUCA」など、お土産に最適なショップも充実しており、出国前の最後の買い物を存分に楽しめます。
ドンムアン国際空港 (DMK)
一方、ドンムアン空港の免税店はスワンナプーム空港に比べると規模が小さくなります。ハイブランドの独立したブティックはなく、「King Power Duty Free」が主要な化粧品やお酒、お菓子などをまとめて扱っている形式です。
もちろん、タイの定番土産や人気ブランドのコスメなどを購入することは可能ですが、品揃えやブランドの選択肢は限られます。そのため、空港で高級ブランドのショッピングを計画している場合は、スワンナプーム空港を利用するフライトを選ぶのが賢明です。
ただし、ドラッグストアやコンビニ、タイ王室が認定したお土産品を扱う「ロイヤル・プロジェクト」の店舗などもあり、日常的な買い物や最後のお土産探しには困らないでしょう。
空港ラウンジの数やサービスの違い

フライト前の時間を静かで快適な空間で過ごしたい方にとって、空港ラウンジの存在は非常に価値があります。ラウンジの数や質においても、両空港には違いが見られます。
スワンナプーム国際空港 (BKK)
「ラウンジ天国」とも称されるスワンナプーム国際空港には、航空会社ラウンジとカードラウンジを合わせて20カ所以上のラウンジが存在します。
JALの「サクララウンジ」やタイ国際航空の「ロイヤルオーキッドラウンジ」といった航空会社の上級会員やビジネスクラス以上の搭乗者向けのラウンジは、質の高い食事やシャワー設備、仮眠スペースなどを提供しています。
また、プライオリティパスなどで利用できる「ミラクルラウンジ」も複数あり、航空会社のステータスに関わらず多くの旅行者が利用可能です。食事の種類が豊富で、24時間営業のラウンジも多いため、深夜便や早朝便を利用する際にも非常に便利です。
ドンムアン国際空港 (DMK)
ドンムアン空港のラウンジは、スワンナプーム空港ほど多くはありませんが、プライオリティパスなどで利用できるカードラウンジが中心に約9カ所設置されています。
「ミラクル・ラウンジ」や「ザ・コーラル・エグゼクティブ・ラウンジ」などがあり、食事やドリンク、Wi-Fiサービスを提供しています。
航空会社専用のラウンジはなく、規模もコンパクトですが、料金を支払えば誰でも利用できるラウンジが多いため、気軽に利用しやすいのが特徴です。シャワー設備があるラウンジは限られているため、利用したい場合は事前に場所を確認しておくと良いでしょう。
空港直結・周辺ホテルを比較

深夜到着便や早朝出発便を利用する場合、空港に直結、または至近距離にあるホテルの存在は大変心強いものです。
スワンナプーム国際空港 (BKK)
スワンナプーム空港には、空港ターミナルから連絡通路で直結している「ノボテル バンコク スワンナプーム エアポート」があります。
徒歩数分でアクセスできるため、長旅の疲れをすぐに癒したい方や、早朝のフライトに備えてゆっくり休みたい方にとって最高のロケーションです。24時間営業のレストランやプール、スパも完備しており、快適な滞在が約束されます。
空港周辺にも無料のシャトルバスで送迎してくれるホテルが多数あり、予算や好みに応じて幅広い選択肢から選ぶことが可能です。
ドンムアン国際空港 (DMK)
ドンムアン空港にも、同様に連絡通路で直結した「アマリ ドンムアン エアポート バンコク」があります。
こちらも空港ターミナルから歩いてすぐの距離にあり、LCCの早朝便・深夜便を利用する旅行者にとって非常に便利な存在です。
また、ターミナル内には「スリープ ボックス バイ ミラクル」という、シャワー付きのコンパクトな客室を時間単位で利用できる施設もあります。数時間の仮眠や休憩を取りたい場合に最適です。周辺にも手頃な価格のホテルが多く点在しており、選択肢には困りません。
このように、どちらの空港にも利便性の高い直結ホテルがあるため、フライトスケジュールに合わせてホテルを選ぶことができます。
レートの良い両替所はどっちにある?

タイの通貨「バーツ」への両替は、現地に到着してすぐに行う必要があります。一般的に、日本の空港や銀行で両替するよりも、タイの空港や市内で両替する方がレートが良いとされています。
スワンナプーム国際空港 (BKK)
スワンナプーム空港で最もレートが良いと評判なのは、エアポートレールリンク乗り場のある地下1階に集まっている両替所エリアです。
特に「スーパーリッチ」というオレンジや緑の看板の両替所は、市内の有名店と遜色ない良いレートを提示することで知られています。到着ロビーにある銀行系の両替所に比べて格段にレートが良いため、時間に余裕があれば地下1階まで足を運ぶ価値は十分にあります。
ドンムアン国際空港 (DMK)
ドンムアン空港には、スワンナプーム空港の「スーパーリッチ」のような高レートで知られる特定の両替所はありません。しかし、ターミナル内の各フロアに複数の銀行系両替所が点在しており、レートに大きな差はないものの、多少の違いはあります。
より良いレートを求めるのであれば、空港に隣接する国鉄ドンムアン駅の近くにある両替所が比較的レートが良いという情報もありますが、移動の手間を考えると、空港内で必要最低限を両替し、残りはレートの良い市内の両替所を利用するのが効率的かもしれません。
いずれの空港を利用する場合でも、到着ロビーの目の前にある両替所は利便性が高い反面、レートはあまり良くない傾向にあることを覚えておくと良いでしょう。
まとめ:タイの空港はどっちを選ぶ? 旅の目的を明確にすることが最も大切
この記事のポイントをまとめます。
✓ バンコクにはスワンナプーム(BKK)とドンムアン(DMK)の2つの主要空港がある
✓ スワンナプームはJALやANAなどフルサービスキャリアが中心の巨大ハブ空港
✓ ドンムアンはエアアジアなどLCCが中心のコンパクトな空港
✓ 施設の充実度(飲食店・免税店)を求めるならスワンナプームが圧倒的に優位
✓ スワンナプームは広大で移動や手続きに時間がかかることがある
✓ ドンムアンはコンパクトでスムーズだが、施設の選択肢は限られる
✓ 市内へのアクセスはどちらも良好で、鉄道・バス・タクシーが利用可能
✓ 時間を重視するならスワンナプームのエアポートレールリンクが便利
✓ 航空券の安さを最優先するならLCCが豊富なドンムアンが有利
✓ 初めてのタイ旅行や快適性を重視するならスワンナプームがおすすめ
✓ 短期滞在や国内線乗り継ぎにはドンムアンが便利な場合が多い
✓ 両空港間は約1時間かかり、無料のシャトルバスが運行している
✓ 乗り継ぎには交通渋滞を考慮し、最低3~4時間の余裕を持つべき
✓ どちらの空港にも便利な直結ホテルが存在する
✓ レートの良い両替所はスワンナプームの地下1階に集中している