
マレーシアへの旅行や滞在を計画しているけれど、お金のことで不安を感じていませんか。マレーシアのお金の単位が何であるか、現地で流通している紙幣やコインにはどのような種類があるのか、初めてだと戸惑うことも多いかもしれません。
また、日本円からの換金はどこで行うのが一番お得なのか、観光中にスムーズな支払いをするための両替のコツ、そして日本円でいくらになるのかを把握するための計算方法など、知っておきたいことはたくさんあります。
この記事では、そうした疑問や不安を解消するために必要な情報を網羅的に解説します。
記事のポイント
- マレーシアの通貨単位「リンギット」と「セン」の基本
- 6種類の紙幣と4種類の硬貨の見分け方と特徴
- レートが良い両替所を見つける方法と換金の注意点
- 現金とキャッシュレスを上手に使い分ける実践的な方法
マレーシアのお金の単位と基本情報
- リンギット紙幣の種類と特徴
- 流通しているコインの種類
- 日本円からの簡単な計算方法
- リンギットの歴史と呼称の変遷
- 新旧紙幣の見分け方と注意点
リンギット紙幣の種類と特徴

マレーシアで現在流通している紙幣の単位は「リンギット(Ringgit)」です。通貨コードはMYR、一般的にはRMと略されます。紙幣は全部で6種類あり、それぞれ色鮮やかなデザインが特徴で、見分けるのは比較的簡単です。
すべての紙幣の表面には、初代国王トゥアンク・アブドル・ラーマンの肖像が印刷されています。紙幣の種類ごとの特徴を以下の表にまとめました。
額面 | 色 | 主な特徴 | 素材 |
RM1 | 青 | 「ワウブラン」と呼ばれる三日月型の凧が描かれています | ポリマー |
RM5 | 緑 | マレーシアの国鳥であるサイチョウが描かれています | ポリマー |
RM10 | 赤 | 世界最大の花として知られるラフレシアが描かれています | 紙 |
RM20 | オレンジ | ウミガメが描かれています | 紙 |
RM50 | 緑/青 | マレーシア初代首相とアブラヤシの木が描かれています | 紙 |
RM100 | 紫 | キナバル山と石灰岩の奇岩群が描かれています | 紙 |
マレーシア国立銀行の紙幣見本 Home - Bnm Bank Notes
RM1札とRM5札には、プラスチック製のポリマー素材が採用されています。このため、水に強く耐久性が高い一方で、熱には弱いという特性があります。アイロンをかけると縮んでしまうため、取り扱いには注意が必要です。
また、RM1札とRM50札は、どちらも青や緑系の色合いのため、急いでいると見間違える可能性があります。特に50リンギット札は緑がかった青色をしており、支払い時には額面をしっかり確認することをおすすめします。
流通しているコインの種類

リンギットの補助単位として「セン(Sen)」があり、1リンギットは100センに相当します。現在、マレーシアで流通している硬貨(コイン)は、5セン、10セン、20セン、50センの4種類です。
硬貨のデザインは、ハイビスカスの花をモチーフにしています。額面ごとに色や大きさが異なるため、慣れると簡単に見分けられます。
- 5セン、10セン:銀色で、10センの方がわずかに大きい
- 20セン、50セン:金色で、50センの方が大きい
マレーシア国立銀行のコイン見本 Home - BNM Coins - Bank Negara Malaysia
以前は1セン硬貨も発行されていましたが、現在ではほとんど流通していません。これに伴い、現金で支払いをする際には「ラウンディング・メカニズム」と呼ばれる端数処理のルールが適用されます。
具体的には、合計金額の末尾が1、2、6、7センの場合は切り捨てられ、3、4、8、9センの場合は切り上げられます。例えば、合計金額がRM10.82なら支払いはRM10.80に、RM10.88ならRM10.90になります。このルールは現金払いにのみ適用され、クレジットカードや電子マネーでの決済では合計金額がそのまま請求されます。
日本円からの簡単な計算方法

マレーシアで買い物をする際、表示価格が日本円でいくらになるのかを素早く把握できると便利です。そのためには、リンギットと日本円の為替レートを知っておく必要があります。
為替レートは日々変動しますが、2025年8月現在、1リンギットあたり約32円前後で推移しています。このレートを基にすると、簡単な計算式で日本円のおおよその金額を算出できます。
リンギットの金額 × 32 = 日本円のおおよその金額
例えば、RM50の品物であれば「50 × 32 = 1,600円」と計算できます。屋台でRM10の食事をした場合は「10 × 32 = 320円」となり、価格感を掴む目安になります。
より正確な金額を知りたい場合は、インターネットの検索エンジンで「リンギット 円」と検索すれば、リアルタイムの為替レートを確認可能です。
ただし、実際に両替所で換金する際には手数料が含まれたレートが適用されるため、この計算結果と完全に一致するわけではない点を覚えておきましょう。
リンギットの歴史と呼称の変遷

現在の通貨である「リンギット」が正式名称として採用されたのは1975年のことです。それ以前は、英語の「ドル(dollar)」や「セント(cent)」という呼称が一般的に使われていました。
「リンギット」という言葉は、マレー語で「ギザギザな」という意味を持ちます。これは、16世紀から17世紀にかけてこの地域で流通していたスペインドル銀貨の縁がギザギザしていたことに由来すると言われています。
現在でも、特に英語を話すマレーシア人の間では、1リンギットを「1ドル」と呼ぶことがあります。また、多民族国家であるマレーシアでは、コミュニティによって通貨の呼び方が異なる場合もあり、多様な文化背景を垣間見ることができます。
新旧紙幣の見分け方と注意点

マレーシアでは、安全性を高めるために定期的に紙幣のデザインが更新されています。現在主に流通しているのは第4世代の紙幣ですが、一つ前の第3世代の紙幣も法的に有効であり、問題なく使用可能です。
偽札への注意
特に旅行者が注意したいのが偽札の存在です。高額紙幣であるRM50札やRM100札には、精巧な偽造防止技術が施されています。本物の紙幣には、肖像画の右側にキラキラと光るホログラムの帯が入っており、角度を変えると色が変わって見えます。
両替時や高額紙幣のお釣りを受け取った際には、このホログラムを確認する習慣をつけると安心です。信頼できるショッピングモール内の両替所などを利用することが、偽札のリスクを避けるための基本的な対策となります。
破損紙幣の使用
マレーシアでは、破れていたり、ひどく汚れていたりする破損紙幣は、店舗での受け取りを拒否されることが一般的です。自動販売機や券売機でも認識されないケースがほとんどです。お釣りなどで破損した紙幣を受け取った場合は、その場で遠慮なく交換を申し出ましょう。
マレーシアのお金の単位と両替のコツ
- 現地でお得に両替する方法
- 日本国内での換金はおすすめ?
- 観光で現金が必要な場面とは
- ATMでのキャッシングも便利
- クレジットカードの活用術
現地でお得に両替する方法

マレーシアで日本円をリンギットに両替する場合、最もお得なレートを期待できるのは、市街地にある民間の両替所(マネーチェンジャー)です。
これらの両替所は、特にクアラルンプールのブキッビンタン地区やKLセントラル駅に直結する「NU Sentral」モール内、ペナンのジョージタウンなどに多く集まっています。銀行や空港の両替所と比較して競争が激しいため、総じて良いレートが提示されています。
メリットとデメリット
市中両替所のメリットは、有利なレートと、多くの場合で手数料が無料である点です。営業時間が比較的長い店舗が多く、ショッピングのついでに立ち寄れる利便性もあります。
一方で、デメリットとしては、中には悪質なレートを提示する業者も紛れている可能性があることです。
また、両替直後はまとまった現金を持つことになるため、スリやひったくりに狙われやすくなるリスクも考えられます。両替後はすぐに現金をしまい、周囲への警戒を怠らないようにしましょう。
よりお得に両替するコツ
両替所が密集しているエリアでは、2~3軒のレートを比較検討するのがおすすめです。各店舗の電光掲示板に表示されている「WE BUY」の数字(両替所が日本円を買い取るレート)を確認し、最も数字が大きい店を選ぶと良いでしょう。
日本国内での換金はおすすめ?

出発前に日本国内でマレーシアリンギットへ両替することも可能ですが、これはあまり推奨できません。日本の銀行や空港の両替所では、マレーシアリンギットの流通量が少ないため、為替レートが非常に悪く設定されているからです。
もし事前に両替するのであれば、マレーシア到着後に空港からホテルまで移動するための交通費や、当座の食費など、必要最低限の金額に留めるのが賢明です。
例えば、5,000円から10,000円程度を両替しておけば、市街地のレートが良い両替所へ行くまでの資金として十分でしょう。
日本の空港の両替所は深夜早朝でも営業している利便性がありますが、レートの不利さを考えると、あくまで緊急用と捉えるのが適切です。
観光で現金が必要な場面とは

マレーシアではキャッシュレス決済が普及していますが、依然として現金でしか支払えない場面も多く存在します。特に観光客が訪れるような場所では、現金の準備が不可欠です。
具体的には、以下のような場所で現金が必要となります。
- 屋台(ホーカーセンター)やナイトマーケット
- 個人経営の小さな食堂や土産物店
- 公共交通機関(一部のバスやLRTの券売機)
- タクシー(Grabなどの配車アプリを除く)
これらの場所では、高額紙幣(特にRM50札やRM100札)を出すと、お釣りの準備がないという理由で支払いを断られることがあります。
そのため、両替の際にはRM1、RM5、RM10といった少額紙幣を多めに混ぜてもらうようお願いすると、現地での支払いがスムーズになります。
ATMでのキャッシングも便利

多額の現金を持ち歩くことに抵抗がある場合、現地のATMで必要な分だけキャッシング(現金の引き出し)する方法も非常に便利です。
マレーシアの主要な空港やショッピングモール、銀行の支店には、国際キャッシュカードや海外キャッシング機能付きのクレジットカードに対応したATMが多数設置されています。カードの裏面に「PLUS」や「CIRRUS」といったマークがあれば、利用可能です。
操作は基本的に英語表示で行いますが、画面の指示に従って暗証番号(PIN)を入力し、引き出したい金額を指定するだけで簡単にリンギットを引き出せます。
この方法のメリットは、両替所を探す手間が省ける点と、大金を持ち歩くリスクを軽減できる点です。
ただし、カード会社が定める手数料や利息が発生するほか、ATMのカード挿入口に不正な装置(スキマー)が仕掛けられていないか確認するなど、セキュリティ面での注意も必要になります。
クレジットカードの活用術

ホテルやデパート、中規模以上のレストラン、チェーン店などでは、クレジットカードでの支払いが広く普及しています。VISAやMastercardであれば、ほとんどの場所で問題なく利用可能です。
クレジットカード決済のメリットは、両替の手間や手数料を節約できる点にあります。また、利用明細が記録として残るため、支出管理がしやすいという利点もあります。
ただし、屋台やローカルマーケットなどでは利用できないため、現金との併用が前提となります。カードで支払う際には、店員の目の前で決済処理をしてもらうようにし、レシートは必ず保管しておきましょう。
これにより、カード情報の不正利用(スキミング)や二重請求といったトラブルのリスクを減らすことができます。出発前に、ご自身のカードの暗証番号を確認しておくことも忘れないようにしてください。
まとめ:マレーシアのお金の単位を理解しよう
この記事で解説した、マレーシアのお金の単位や両替に関する重要なポイントを以下にまとめます。
✓ マレーシアの通貨単位はリンギット(RM)
✓ 補助通貨単位はセン(Sen)で1リンギットは100セン
✓ 紙幣はRM1、5、10、20、50、100の6種類
✓ 硬貨は5、10、20、50センの4種類が流通
✓ RM1札とRM5札は水に強いポリマー製
✓ RM50札やRM100札には偽造防止のホログラムがある
✓ 日本円からの計算目安は1リンギット約32円
✓ 両替はマレーシア現地の市中両替所が最もお得
✓ クアラルンプールではブキッビンタン地区などが好レート
✓ 日本国内での両替はレートが悪いため最小限に
✓ 屋台やマーケットでは現金が必須
✓ 支払いには少額紙幣を準備しておくと便利
✓ ATMでのキャッシングも手軽な現金調達手段
✓ ホテルやモールではクレジットカードが広く使える
✓ 現金とキャッシュレス決済の併用が最も賢い方法