
カンボジアへの旅行を計画する際、「カンボジアには一体どんな有名なものがあるのだろう?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
壮大な歴史を物語る観光地はもちろん、独特の文化から生まれた美味しい食べ物、そして国全体が熱気に包まれる伝統的な行事まで、この国の魅力は多岐にわたります。
事前に情報を集めておかないと、現地で何を見るべきか、何を体験するべきか迷ってしまい、貴重な旅行の時間を無駄にしてしまうかもしれません。
この記事では、そんな失敗や後悔を避けるために、カンボジアの有名なものをテーマ別に分かりやすく解説します。
記事のポイント
- カンボジアが誇る壮大な歴史遺産や自然景観
- 旅の醍醐味となるカンボジアならではのグルメ
- 国民の文化や活気に触れられる年中行事
- 旅の計画に役立つ各スポットの基本情報や注意点
歴史を物語るカンボジアの有名なもの
- 神秘の世界遺産アンコール・ワット
- バイヨン寺院で知られるアンコール・トム
- 自然の力強さを感じるタ・プローム
- 水上生活が広がるトンレサップ湖
- 首都プノンペンの代表的な観光地
神秘の世界遺産アンコール・ワット

カンボジアの有名なものを語る上で、アンコール・ワットは絶対に外すことのできない存在です。
この壮大な寺院は、12世紀前半に建立されたヒンドゥー教寺院であり、クメール建築の最高傑作として世界的に知られています。1992年にはアンコール遺跡群の一部としてユネスコの世界遺産に登録されました。
アンコール・ワットの魅力は、その圧倒的なスケールと細部にまでこだわった美しい彫刻にあります。寺院は三重の回廊に囲まれており、中央には5基の祠堂が天に向かってそびえ立っています。
特に第一回廊の壁面に刻まれた古代インドの叙事詩「マハーバーラタ」や、天地創造神話「乳海攪拌」のレリーフは圧巻の一言です。
また、アンコール・ワットは日の出の鑑賞スポットとしても非常に人気があります。中央祠堂のシルエットが朝焼けに染まる光景は、息をのむほど美しく、多くの観光客を魅了し続けています。
観光の際には、いくつか注意点があります。神聖な場所であるため、肩や膝が露出する服装では入場が許可されません。タンクトップやショートパンツは避け、羽織るものやスカーフを持参すると良いでしょう。
また、敷地内は広く、石段も多いため、歩きやすいスニーカーでの訪問が適しています。アンコール遺跡群の観光には「アンコールパス」と呼ばれる共通入場券が必要で、滞在日数に合わせて1日券、3日券、7日券から選べます。
アンコールパス料金(2025年8月時点)
- 1日券 37USドル
- 3日券 62USドル
- 7日券 72USドル
バイヨン寺院で知られるアンコール・トム

アンコール・ワットの北に位置するアンコール・トムは、12世紀末に築かれた壮大な城郭都市です。一辺が約3kmの堀と高さ8mの城壁に囲まれ、かつては王都として栄えました。
アンコール・ワットがヒンドゥー教の宇宙観を表現しているのに対し、アンコール・トムは大乗仏教の影響を強く受けているのが特徴です。
その中心にそびえるのが、バイヨン寺院です。この寺院の最大の見どころは、50以上もの塔の四面に彫られた巨大な観音菩薩の顔、「クメールの微笑み」として知られる穏やかな表情の石像群です。
どの角度から見ても見守られているような不思議な感覚を覚え、多くの観光客が足を止める撮影スポットとなっています。
バイヨン寺院の回廊には、当時の人々の生活やチャンパ軍との戦いの様子が生き生きと描かれたレリーフが残っており、歴史を深く感じることができます。他にも、象のテラスやライ王のテラスなど、見逃せないスポットが点在しています。
アンコール・トムは敷地が非常に広大であるため、効率よく見学するには事前にルートを計画しておくことが大切です。トゥクトゥクをチャーターして主要な遺跡を巡るのが一般的な方法です。
前述の通り、アンコール・トムの見学もアンコールパスに含まれていますので、アンコール・ワットと合わせて観光の計画を立てるのがおすすめです。
自然の力強さを感じるタ・プローム

アンコール遺跡群の中でも、タ・プロームは特にユニークで印象的な寺院です。発見されてからあえて大規模な修復を行わず、自然と遺跡が一体化した姿を今に伝えています。
巨大なガジュマルの木が建物を飲み込むように根を張り巡らせる光景は、自然の生命力の力強さを感じさせます。
この神秘的な雰囲気から、映画『トゥームレイダー』のロケ地として使用されたことで世界的に有名になりました。苔むした石の回廊や、木の根に覆われた祠堂など、どこを切り取っても絵になる風景が広がっており、冒険心をくすぐられることでしょう。
タ・プロームは、遺跡を保護しつつ観光客が安全に見学できるよう、木製の通路が整備されています。しかし、足元が不安定な場所もあるため、歩きやすい靴は必須です。
遺跡の崩壊を防ぐために支えられている箇所も多く、立ち入りが制限されているエリアもありますので、現地の案内に従って見学しましょう。
他の主要な遺跡と同様に、午前中は比較的観光客が少なく、静かな雰囲気の中でゆっくりと散策できます。自然と人工物が織りなす幻想的な空間で、悠久の時の流れを感じてみてはいかがでしょうか。
水上生活が広がるトンレサップ湖

東南アジア最大の湖であるトンレサップ湖は、カンボジアの人々の生活と自然の関わりを間近に感じられる貴重な観光地です。この湖の最大の特徴は、雨季と乾季で湖の面積が劇的に変化することです。雨季にはメコン川の水が逆流し、面積は乾季の数倍にも膨れ上がります。
この特異な自然環境に適応するため、湖畔の住民は水上に高床式の家を建てて暮らしています。湖上には家屋だけでなく、学校、商店、病院、さらにはバスケットボールコートまであり、一つのコミュニティとして機能しています。人々はボートを巧みに操り、漁業を中心に生計を立てています。
観光では、ボートクルーズに参加して水上集落を訪れるのが一般的です。代表的な村には、シェムリアップから比較的近い「チョンクニア」や、より規模が大きくマングローブ林のクルーズも楽しめる「コンポン・プルック」があります。
訪問する時期によって湖の様子は大きく異なります。水かさが増す雨季(6月~11月頃)には、活気ある水上生活の様子を存分に楽しめます。
一方、乾季には水が引き、高床式の家の基礎が露わになる独特の景観を見ることができます。また、湖上で眺める夕日は格別で、地平線へと沈む太陽が湖面を黄金色に染める光景は、忘れられない思い出になるはずです。
首都プノンペンの代表的な観光地

カンボジアの首都プノンペンは、国の政治・経済の中心地であり、歴史的な見どころが数多く集まる活気あふれる都市です。かつてフランスの統治下にあったことから「東洋のパリ」とも称され、美しいコロニアル様式の建物が街の至る所に残っています。
プノンペン観光のハイライトの一つは、壮麗なカンボジア王宮です。黄金色に輝く屋根が特徴的なこの王宮には、現在も国王が暮らしています。
敷地内には、床に5000枚以上の銀のタイルが敷き詰められたシルバーパゴダ(エメラルド寺院)もあり、豪華絢爛な宝物を見学できます。
その他にも、プノンペンの名の由来となったワット・プノン、フランスからの独立を記念して建てられた独立記念塔、クメール芸術の至宝が集まる国立博物館など、訪れるべき観光地は尽きません。
また、活気あるセントラル・マーケットやロシアン・マーケットでは、地元の人々の熱気を感じながら、お土産探しやローカルフードを楽しむことができます。
プノンペン市内は交通量が多いため、移動にはトゥクトゥクを利用するのが便利です。利用する際は、乗車前に料金を交渉することを忘れないようにしましょう。
また、他の都市部に比べて治安には注意が必要なエリアもあるため、夜間の一人歩きや貴重品の管理には十分気を付けてください。
文化に触れるカンボジアの有名なもの
- マイルドで食べやすいカンボジアの食べ物
- 国を挙げて盛り上がる伝統的な行事
- 王宮とシルバーパゴダの輝き
- クメール芸術が集う国立博物館
- フランス統治時代の面影が残る街並み
- 旅の参考にしたいカンボジアの有名なもの
- まとめ:旅の参考にしたいカンボジアの有名なもの
マイルドで食べやすいカンボジアの食べ物

カンボジアの旅の楽しみの一つに、豊かな食文化があります。一般的に「クメール料理」と呼ばれるカンボジアの食べ物は、隣国のタイ料理やベトナム料理の影響を受けつつも、独自の発展を遂げてきました。
その最大の特徴は、ココナッツミルクを多用した、辛さ控えめでマイルドな味わいにあります。
代表的なクメール料理
- アモック:雷魚などの淡水魚をココナッツミルクとカレーペーストで煮込み、バナナの葉の器で蒸した料理。カンボジアを代表する一品で、まろやかで優しい味わいが日本人にも好評です。
- ロックラック:牛肉を甘辛いタレで炒めたカンボジア風のサイコロステーキ。ライムと黒胡椒のソースにつけて食べるのが一般的で、ご飯が進む一品です。
- クイティウ:米粉から作られた麺を使ったスープ麺。豚骨や鶏ガラベースのあっさりとしたスープが特徴で、カンボジアでは定番の朝食メニューです。
- バイサイ・チュルーク:炭火で焼いた豚肉をご飯の上にのせた、カンボジア風の豚丼。甘辛い味付けで、朝から活力をつけたいときにぴったりです。
これらの料理は、レストランだけでなく、街角の屋台でも気軽に楽しめます。屋台で食事をする際は、衛生面に配慮し、多くの地元の人で賑わっている店を選ぶと良いでしょう。
また、魚を発酵させて作る「プラホック」という独特の風味を持つ調味料もクメール料理には欠かせませんが、少しクセがあるため、初めて試す際は少量から始めることをおすすめします。
国を挙げて盛り上がる伝統的な行事

カンボジアの人々の文化や信仰に触れるには、国を挙げて行われる伝統的な行事に参加するのが一番です。年間を通じて様々な祭りや祝日があり、その時期に訪れることができれば、より深くこの国の魅力を体感できるでしょう。
カンボジアの三大祭り
- カンボジア正月(チョール・チュナム・トメイ):毎年4月中旬に行われる、一年で最も重要な祝祭です。人々は寺院へお参りに行き、家族や親戚と新年を祝います。街中では水を掛け合う「水掛け祭り」が行われ、国全体がお祝いムードに包まれます。
- 水祭り(ボン・オム・トゥック):11月頃の満月の前後3日間に、首都プノンペンなどで開催されるお祭りです。トンレサップ川で行われる伝統的なボートレースは圧巻で、国内外から多くの観光客が集まります。夜には電飾で飾られた船が川に浮かび、花火が打ち上げられ、幻想的な雰囲気を楽しめます。
- お盆(プチュム・ベン):9月下旬から10月上旬にかけて行われる、祖先の霊を供養する仏教行事です。人々は正装して寺院を訪れ、僧侶にお供え物をします。この期間は多くの人が故郷へ帰省するため、都市部は少し静かになりますが、カンボジア人の信仰心に触れることができる貴重な機会です。
これらの行事の期間中は、銀行や公的機関、一部の商店が休業することがあります。また、交通機関や宿泊施設が大変混雑するため、旅行を計画する際は早めの予約が不可欠です。
王宮とシルバーパゴダの輝き

前述の通り、プノンペンを代表する観光地である王宮は、カンボジア王国の威厳と歴史を象徴する場所です。1866年に建設が始まり、現在も国王一家の住まいや公的行事の場として使用されています。そのため、敷地内の一部のみが一般公開されています。
王宮の敷地内でも特に目を引くのが、黄金色の瓦で葺かれた屋根を持つ「即位殿」です。クメール建築の粋を集めたその壮麗な姿は、訪れる人々を圧倒します。丁寧に手入れされた庭園を散策するのも心地よいものです。
隣接するシルバーパゴダは、正式名称をワット・プレア・ケオ・モロコットと言い、王室の菩提寺です。その名の通り、床には5,329枚もの銀製のタイルが敷き詰められています。
堂内には、エメラルドで作られた仏像や、多数のダイヤモンドで装飾された純金製の仏像などが安置されており、その豪華絢爛さはまさに圧巻です。
王宮とシルバーパゴダを見学する際には、厳しい服装規定があることに注意が必要です。肩や膝が完全に隠れる服装が求められ、規則に反する場合は入場を断られるか、入口で羽織ものをレンタル(有料)する必要があります。
また、開館時間が午前と午後に分かれており、昼休み時間は閉鎖されるため、訪問前に時間を確認しておくことが大切です。
クメール芸術が集う国立博物館

プノンペンの王宮のすぐ北側に位置する国立博物館は、カンボジアの歴史と芸術、特にクメール美術の変遷をたどることができる重要な施設です。印象的な赤土色の建物は、伝統的なクメール様式を取り入れて1920年に建てられたもので、建物自体も見どころの一つです。
館内には、アンコール朝時代(9世紀~15世紀)の出土品を中心に、5,000点以上もの貴重なコレクションが展示されています。ヒンドゥー教の神々であるヴィシュヌ神やシヴァ神、そして歴代の王の石像彫刻は、その精巧さと迫力で見る者を魅了します。
特に、アンコール・トムのライ王のテラスにあったとされる「ライ王の像」(レプリカ、本物は屋外展示)や、巨大な「横たわるヴィシュヌ神」の像は必見です。
博物館の中央には美しい中庭があり、緑豊かな空間で静かに過ごすことができます。池には鯉や亀が泳いでおり、観光の合間の休憩場所としても最適です。
クメール芸術の至宝を間近に見ることで、アンコール遺跡群を訪れる前後に立ち寄れば、遺跡への理解がより一層深まることでしょう。
館内は基本的に撮影が禁止されているエリアが多いため、ルールを守って鑑賞しましょう。所要時間はおおよそ1時間から1時間半が目安です。
フランス統治時代の面影が残る街並み

プノンペンが「東洋のパリ」と称される背景には、19世紀後半から約90年間にわたるフランス植民地時代の歴史があります。この時代に建設されたヨーロッパ風の建築物が今もなお街の随所に残り、プノンペンに独特の雰囲気を添えています。
その代表格が、巨大なドームが特徴的な「セントラル・マーケット」です。1937年にフランスの建築家によって設計されたこの建物は、アール・デコ様式の傑作とされ、現在も市民の台所として、また観光客で賑わうショッピングスポットとして活気に満ちています。
その他にも、プノンペン中央郵便局や、川沿いの大通りに並ぶホテルやレストランなど、多くのコロニアル建築を見つけることができます。
これらの建物の多くは、淡い黄色や白の壁に緑色の鎧戸といった特徴的なデザインを持っており、熱帯の気候と融合してエキゾチックな景観を生み出しています。
これらの歴史的建造物を巡るには、トゥクトゥクで主要なスポットを巡るのも良いですし、時間に余裕があれば、地図を片手に自分のペースで街を散策するのもおすすめです。
過去と現在が交差するプノンペンの街並みを歩けば、カンボジアが歩んできた複雑な歴史の一端を感じ取ることができるでしょう。
まとめ:旅の参考にしたいカンボジアの有名なもの
この記事のポイントをまとめます。
✓ カンボジアを象徴するのは世界遺産アンコール・ワット
✓ クメールの微笑みで知られるバイヨン寺院は必見
✓ 自然と遺跡が融合したタ・プロームは幻想的な空間
✓ 東南アジア最大のトンレサップ湖では水上生活が見られる
✓ 首都プノンペンには王宮や歴史的建造物が集まる
✓ クメール料理は辛さ控えめで日本人にも親しみやすい
✓ 代表的な食べ物はココナッツ風味のアモック
✓ カンボジア正月や水祭りは国民的な行事
✓ 王宮や寺院では肌の露出を控えた服装が必須
✓ アンコール遺跡群の観光には共通入場券アンコールパスが必要
✓ 広大な遺跡観光にはトゥクトゥクのチャーターが便利
✓ プノンペン市内の移動もトゥクトゥクが主流
✓ 屋台での食事は衛生面に注意して店を選ぶ
✓ フランス統治時代のコロニアル建築が街並みに彩りを添える
✓ 旅行の時期によって祭りの有無や気候が大きく異なる