
シンガポールの友人や同僚から結婚式に招待されたとき、真っ先に悩むのが当日の身だしなみですよね。
多民族国家であるシンガポールでは、相手の文化背景によって正解がバラバラなので、日本と同じ感覚で準備をすると当日浮いてしまわないか不安になることもあるかなと思います。
シンガポールでの結婚式の服装選びは、単なるファッションではなく、新郎新婦の文化や宗教への敬意を表す大切なステップです。
この記事では、シンガポールの結婚式に参列する際の服装やドレスコードの基本、さらに気になる祝儀の相場といったマナーについて、私自身の視点で詳しくまとめてみました。
事前にドレスコードや現地の習慣を知っておくことで、当日は不安を感じることなく、心からお祝いを楽しめるようになりますよ。
記事のポイント
- 民族ごとの文化に基づいた適切な服装の選び方
- 2025年から2026年にかけての祝儀(アンパオ)の最新相場
- 熱帯の気候と強力な冷房に対応するための賢い対策
- 現地で失敗しないための色彩マナーやタブーの知識
シンガポールの結婚式の服装選びと基本マナー
シンガポールは中国系、マレー系、インド系、そして西洋的な価値観が混ざり合う非常にユニークな社会です。結婚式という人生の大きな節目では、その多様性が最も色濃く反映されます。
まずはそれぞれの文化で「何が良しとされるのか」を知っておくことが、お祝いの気持ちを伝える第一歩になりますよ。

中国系披露宴のスマートカジュアルな着こなし
シンガポールで最も多いのが中国系の披露宴です。多くの場合、最高級ホテルで開催されるので「日本と同じようにフルスーツで行かなきゃ!」と思いがちですが、実はここが最初の落とし穴なんです。
現地のスタイルは驚くほどカジュアルで実用的。男性の場合、フルスーツにネクタイという姿は親族やVIP以外ではあまり見かけません。一般のゲストは「スマートカジュアル」が定番で、これこそがシンガポールの気候に根ざした合理的な選択と言えますね。
男性の着こなしポイント

男性なら、アイロンの効いた清潔な長袖シャツに、プレスされたスラックスを合わせるスタイルが最も無難です。ノーネクタイが標準ですし、暑い日にはジャケットすら持参しない人がほとんど。
足元もピカピカの革靴でなくても、綺麗なローファーやレザースニーカーであれば許容される雰囲気があります。ただし、あくまで「お祝いの席」なので、ヨレヨレのシャツや、普段着すぎるポロシャツは避けたほうがいいかも。新郎への敬意を込めて、少し質の良い生地のシャツを選ぶのが私のこだわりです。
女性の着こなしポイント
女性は、膝丈からミディ丈のワンピースが最も多く見られます。シンガポールの女性はあまり日本の披露宴のように「気合を入れて髪を盛る」ことはしません。ダウンスタイルやハーフアップで、あくまで自然体な美しさを好む傾向にありますね。
カクテルドレスほどドレッシーである必要はなく、少し華やかなランチに出かけるような感覚で大丈夫です。ただし、あまりにラフすぎるジーンズやサンダル、短パンは、どんなにリラックスした式でもマナー不足と見なされる可能性があるので注意してくださいね。
黒や白はNG?中国系マナーの色彩ルールと注意点
中国系社会において、色彩は単なる見た目の問題ではなく「縁起」に直結する非常にデリケートな要素です。一番のラッキーカラーは間違いなく「赤」。赤は繁栄、富、そして幸福を象徴する色です。
ゲストが赤い服を着ていくことは「お二人の幸せを心から願っています」という強力なメッセージになります。もしクローゼットに赤いワンピースがあるなら、ぜひ検討してみてください。
ただし、一点だけ注意したいのが、新婦が伝統衣装の「裙褂(クンクア)」を着る場合です。これは鮮やかな赤地に金銀の刺繍が施されたもので、色が被らないように、ゲストはピンクやローズ、オレンジといった暖色系に少しずらすのがスマートな配慮でしょう。
一方で、絶対に避けるべきなのは「黒」と「白」の単色使いです。日本では黒のドレスは定番ですが、中国系の伝統的な価値観では、これらは「葬儀」や「死」を連想させる極めて不吉な色とされています。

特に新郎新婦のご両親や祖父母といった年配世代の方々は、この色彩マナーに非常に敏感です。若者の間では「黒もおしゃれ」という感覚が広まりつつありますが、保守的な家庭の式で黒一色の格好をすると、お祝いのムードに水を差しかねません。
また、全身真っ白なドレスも「花嫁の特権」を侵害することになり、国際的なマナー違反ですので避けてくださいね。暗い色の服を着る場合は、必ず明るい色のストールや大ぶりのゴールドアクセサリーを合わせて、不吉な印象を打ち消す工夫をしましょう。
マレー系式典の伝統衣装バジュクロンと宗教的マナー

マレー系の結婚式は、イスラム教の精神に基づいた非常に温かく、コミュニティの繋がりを感じるものです。ここでは「露出を控える」というマナーが何よりも優先されます。
女性ゲストが参列する際に最も敬意を表せるのは、マレーの伝統衣装である「バジュ・クロン(Baju Kurung)」を着用することです。これは長袖の長いチュニックと、ロングスカートがセットになったもので、体のラインを強調しないゆったりとした作りになっています。
日本人が着ても大丈夫かな?と心配になるかもしれませんが、シンガポールは多文化の融合を誇りに思っている国なので、マレー系ではないゲストが伝統衣装を着ていくと、ホストから非常に好意的に受け止められます。
また、マレー系の披露宴は、HDBと呼ばれる公営住宅の1階にある「ボイドデッキ」という共有スペースで開催されることがよくあります。
ここでは高級ホテルのような強力な冷房はなく、代わりに大きな扇風機が回っているだけの開放的な空間であることが多いです。そのため、通気性の良いコットンやシフォン素材を選ぶことが、快適に過ごすための知恵になります。
男性は「バジュ・ムラユ」という伝統衣装がありますが、ゲストであれば綺麗なシャツにスラックスで十分対応可能です。ただし、式典の一部がモスクで行われる場合は、女性は髪を覆うスカーフを用意し、露出のない服装を徹底してくださいね。
インド系の結婚式を彩る鮮やかなサリーとドレス

インド系の結婚式は、とにかくエネルギッシュで華やか!参列者の服装も、その場のパワーに負けないくらいの鮮やかさが求められます。ここでは「目立ちすぎるかも」という遠慮は不要です。
むしろ、エメラルドグリーン、ショッキングピンク、ロイヤルブルーといった、彩度の高い大胆な色のドレスやサリーが大歓迎されます。女性なら、一枚の長い布を美しく巻き上げる「サリー(Saree)」や、クロップド丈のトップスにボリュームのあるスカートを合わせた「レンガ(Lehenga)」が定番です。
もしこれらを着こなすのが難しいと感じるなら、パンジャビ・ドレス(膝丈のチュニックと細身のパンツのセット)が動きやすくておすすめですよ。刺繍やスパンコールがキラキラと輝くものを選べば、お祝いの気持ちがより伝わります。
注意点としては、ヒンドゥー寺院内で行われる式の場合、靴を脱ぐ必要があるので脱ぎ履きしやすい靴が便利です。
また、アクセサリーはゴールドを基調としたボリュームのあるものが好まれます。手首にたくさんのバングルをつけるのもインド式で素敵ですが、静かな儀式の最中に音が鳴りすぎないようにだけ気をつけてください。
色彩に関しては、インド系でもやはり黒と白は避けるのが一般的です。インドの伝統では、結婚式は「人生で最も輝かしい瞬間」なので、太陽のような明るい色で会場を埋め尽くすのが最高のギフトになるんですね。ぜひ、自分に似合う一番明るい色を選んで挑戦してみてください。
招待状のドレスコードを解読する際のポイント
最近のシンガポールでは、多民族の垣根を超えて西洋式のスタイルを取り入れるカップルも増えています。招待状に英語でドレスコードが書かれている場合、その用語がシンガポールの文脈でどう解釈されるかを知っておくことが大切です。
| ドレスコード | 男性の具体的な装い | 女性の具体的な装い |
|---|---|---|
| Black Tie | タキシード(最高級ホテル等) | フルレングスのガウン |
| Formal | ダークスーツ、ネクタイ着用 | カクテルドレス、エレガントなミディドレス |
| Cocktail | スーツまたはジャケットスタイル(タイは任意) | 膝丈のパーティドレス、シックなジャンプスーツ |
| Smart Casual | 長袖シャツ、チノパンまたはスラックス | 綺麗なワンピース、セットアップ |
| Tropical / Beach | リネンシャツ、明るい色のパンツ | サマードレス、フローラルプリント |
もし招待状に何も書かれていない場合や「どんな会場か分からない」と迷ったときは、「ワンランク上の服装」を心がけるのが私の経験上のアドバイスです。
もし指定がなくて迷ったときは、「ワンランク上のフォーマル」を選ぶのが私の個人的な鉄則です。カジュアルすぎて浮くよりは、少し丁寧すぎるくらいの方がホストへの敬意が伝わり、失礼になることはありません。
シンガポールの結婚式で服装以外に注意すべき点
服装が決まっても、次なる疑問は「お祝い金はどうすればいいの?」や「現地の気候にどう対応するか」ですよね。シンガポール特有の「アンパオ(祝儀)」の習慣や、快適に過ごすためのコツについても触れておきます。
2025年版アンパオの相場と祝儀袋の正しい渡し方
シンガポールでは、結婚祝いのお金を「アンパオ(Ang Bao)」と呼びます。これは日本の「祝儀」と似ていますが、考え方が少しドライで合理的。基本的には「自分の食事代+アルファ」を包むのがマナーとされています。ホテルのグレードが上がれば食事代も高くなるため、アンパオの金額も自ずと上がっていく仕組みですね。
特に2024年から2025年にかけては、シンガポールの物価上昇やGST(消費税)の引き上げもあり、開催コストが跳ね上がっています。そのため、以前の感覚で金額を決めると、新郎新婦を赤字にさせてしまう可能性があるので、最新の相場を確認しておくことが重要です。
【2025-2026年 アンパオ相場予測(1人あたり)】
シンガポールの主要な会場ごとの目安です(単位:シンガポールドル)。
- 超高級ホテル(Capella, Raffles, Ritz Carlton等):$400 〜 $500
- 高級ホテル(MBS, St. Regis, Fullerton等):$300 〜 $400
- スタンダードホテル(Hilton, Conrad, Andaz等):$250 〜 $300
- レストラン・カジュアル会場:$150 〜 $200
※週末のディナーが最も高く、平日のランチなどは少し安くなる傾向があります。
祝儀袋は必ず「赤」か「金」の封筒(アンパオ・パック)を使いましょう。銀行やスーパー、文房具店で手に入ります。封筒の裏には、誰からのものか分かるように英語でフルネームを書いておきましょう。
また、金額の数字にもこだわりがあり、末尾を縁起の良い「8」にする($188など)のが喜ばれますが、不吉な数字とされる「4」が含まれる金額は避けるのが鉄則です。
新しいお札を用意するのも、日本と同じく共通の礼儀ですね。アンパオを渡すタイミングは、会場入り口の受付(レセプション)で記帳するときが一般的です。
屋外の暑さと室内の冷房対策に役立つ素材と羽織
シンガポールの気候は、服装選びにおける最大の敵かもしれません。外気温は常に30度前後で湿度も高いため、会場に着くまでに汗だくになってしまうことも。そのため、シルク、コットン、リネンといった通気性の良い天然素材を選ぶことが、見た目の清涼感を保つためにも不可欠です。
最近は機能性の高い吸湿速乾素材の綺麗めな服も増えているので、そういったものを活用するのも賢い選択ですね。移動中は少しゆったりした服装で、会場の直前で着替えるというのも現地ではよくある光景です。
しかし、一番気をつけなければならないのは、実は「冷房」なんです。シンガポールのホテルやレストランは、これでもかというほど冷房が強く設定されています。

設定温度が18度くらいになっていることも珍しくなく、2〜3時間の披露宴を薄着で過ごすと、後半は寒さで食事どころではなくなってしまうことも……。特に女性は、ドレスのデザインを損なわないようなエレガントなショールや薄手のカーディガンを「必ず」持参してください。
男性も、シャツ一枚でOKな式であっても、念のため夏用の薄いジャケットを会場に持ち込んでおくと、いざという時の助けになりますよ。外の暑さと中の寒さ、この両方に対応できる「重ね着戦略」が、シンガポールの結婚式を攻略する鍵になります。
会場の床や地形に合わせた適切な靴の選び方

「おしゃれは足元から」と言いますが、シンガポールでは「安全と快適さは足元から」です。会場がどこかによって、選ぶべき靴が全く変わってきます。
まず、一般的なホテルの宴会場であれば、大理石やふかふかのカーペットなので、女性ならピンヒール、男性なら革靴で全く問題ありません。むしろ、ここではしっかりとしたフォーマル感のある靴が映えますね。
一方で、最近人気があるセントーサ島のビーチ沿いや、緑豊かなガーデンウェディングの場合は要注意です。
芝生や砂地での式では、ピンヒールだと地面に沈んで歩けなくなってしまいます。ウェッジソールやブロックヒール、装飾のついたフラットサンダルを選ぶのが正解です。
また、宗教施設では脱ぎ履きが多いので、ストラップが複雑すぎない靴の方がスマートに動けますよ。
日本の着物やヘアメイクを利用して参列するコツ
日本人として招待されたなら、「着物で参列してみたい!」と思う方もいらっしゃるでしょう。シンガポールの多文化な環境では、日本の伝統衣装は非常に高い敬意を持って受け入れられます。
ただし、袷(あわせ)の着物は暑すぎるので、現地の気候では体調を崩してしまう恐れがあります。おすすめは、6月や9月用の「単衣(ひとえ)」や、真夏用の「絽(ろ)」の着物です。これなら見た目も涼やかで、本人も比較的楽に過ごせます。
自分で着付けるのが難しい場合でも、シンガポールには日本人の美容師さんや着付け師さんが在住しているサロンがいくつかあります。特にオーチャード周辺やリャンコート跡地周辺のエリアには、日本クオリティのサービスを受けられるお店が点在しています。
ヘアメイクに関しても、現地の湿度に耐えられるようにセットしてもらうのが安心です。日本のワックスやスプレーは湿気に負けてしまうことがあるので、現地の環境を知り尽くしたプロにお任せするのが一番です。

シンガポールの結婚式の服装で二人の門出を祝う
ここまで色々とマナーや注意点をお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか。
多民族国家シンガポールでの結婚式は、最初は戸惑うこともあるかもしれませんが、根底にあるのは「みんなで賑やかに二人の新しい門出を祝う」という温かい気持ちです。
服装選びに迷うのは、あなたがそれだけ新郎新婦を大切に思っている証拠。その丁寧な気持ちさえあれば、多少のマナーの細かな違いは笑顔でカバーできるはずですよ。
服装についてしっかり準備を整えたら、あとは当日、心からの「Congratulations!(おめでとう!)」を伝えるだけです。
中国系の「ヤムセン(大声での乾杯)」に参加したり、マレー系の美味しい食事を堪能したり、インド系のダンスに圧倒されたり……日本では味わえないエキサイティングな体験が待っています。
ぜひ、この記事を参考に、自分らしく、かつ敬意の伝わる装いで当日を楽しんできてくださいね。二人の門出を祝うあなたの姿が、会場をさらに華やかに彩ることを願っています!
なお、アンパオの金額などはあくまで一般的な目安ですので、ご自身の状況に合わせて判断してくださいね。
