
フィリピンの方へ心を込めた贈り物をしたいけれど、文化や習慣の違いから「どのような品物がフィリピンのプレゼントとしてタブーにあたるのか」と、不安に感じていませんか。
特に、大切な人の誕生日プレゼントや、お世話になった方への結婚祝いといった特別な機会では、プレゼントが持つ意味を理解せずに渡してしまい、意図せず相手を不快にさせてしまうような失敗や後悔は避けたいものです。
この記事では、フィリピンの文化や宗教的背景に基づいた贈り物のタブーについて詳しく解説します。さらに、宗教上の理由から食べれない物への配慮や、逆にフィリピン人が喜ぶプレゼント、そしてフィリピン人が喜ぶ日本のお土産の選び方まで、あなたの疑問を解消するための情報を網羅的にご紹介します。
相手に心から喜んでもらえる贈り物を選ぶための、確かな知識を身につけていきましょう。
記事のポイント
- フィリピンで贈り物としてタブーとされる品目とその理由
- 宗教や文化の違いからくる食事やマナーの注意点
- タブーを避けてフィリピン人に喜ばれる贈り物の選び方
- 誕生日や結婚祝いなどシーン別の最適なプレゼント
フィリピンで知るべきプレゼントのタブー
- 贈ると失礼?プレゼントに込められた意味
- ハンカチやネックレスは別れを連想させる
- 宗教上の理由で食べれない物にも注意
- 味が合わない?抹茶や梅干しは避けるべき
- 贈り物のマナーと注意すべきジェスチャー
贈ると失礼?プレゼントに込められた意味

フィリピンで贈り物を考える際、まず理解しておくべきは、品物そのものが持つ文化的な意味合いです。
日本では一般的な贈り物が、フィリピンでは全く異なる、時には否定的な意味を持つことがあります。これは、フィリピンの歴史や宗教、そして古くから伝わる迷信が人々の価値観に深く根付いているためです。
例えば、日本では贈り物として一般的なハンカチや靴などが、フィリピンではタブーとされています。これらの品物を贈る行為が、意図せずして相手に「別れ」や「離別」を暗示してしまう可能性があるからです。
良かれと思って選んだプレゼントが、かえって相手を不安にさせたり、関係に溝を生んだりする事態は避けなければなりません。
このように、贈り物選びで失敗しないためには、単に相手の好みを考えるだけでなく、その背景にある文化的なタブーを尊重する姿勢が不可欠です。
プレゼントを渡す前に、その品物がフィリピンでどのような意味を持つのかを少し調べるだけで、誤解を未然に防ぎ、より心のこもった贈り物ができるようになります。
ハンカチやネックレスは別れを連想させる

フィリピンの贈り物文化において、特に注意したいのがハンカチとネックレスです。これらは、日本ではごく当たり前のプレゼントですが、フィリピンでは避けるべき代表的なタブー品目と考えられています。
ハンカチ
ハンカチは「涙を拭う」ために使われることから、悲しみや別れ、不幸を直接的に連想させるアイテムとされています。
そのため、友人や恋人、お世話になった方へハンカチを贈ることは、「あなたとの別れを望んでいる」あるいは「あなたに不幸が訪れる」といった、非常にネガティブなメッセージとして受け取られかねません。デザインがどれほど美しくても、贈り物としては不適切です。
ネックレス
ネックレスは、相手の首にかけるという性質上、「束縛」や「支配」を象徴すると捉えられることがあります。
特に恋愛関係がまだ確立していない相手や、友人関係の相手に贈ると、重すぎる印象を与えたり、相手を束縛したいという意図があると誤解されたりする危険があります。夫婦や婚約者同士であれば問題ないとされる場合もありますが、関係性が浅い段階では避けるのが賢明です。
これらの品々は、フィリピンの迷信や価値観に深く結びついています。たとえ贈る側に悪気がなくても、受け取る側が不快な思いをする可能性がある以上、贈り物リストからは外しておくのが無難と言えます。
宗教上の理由で食べれない物にも注意

フィリピンは国民の大多数がキリスト教徒ですが、一部にはイスラム教徒(ムスリム)も暮らしています。そのため、食品を贈る際には、相手の宗教に最大限の配慮をすることが極めて大切です。特に注意が必要なのは、豚肉とその関連製品です。
イスラム教では、豚肉を食べることは固く禁じられています。これは豚肉そのものだけでなく、豚のエキスが入った調味料、ラードを使用したお菓子、ゼラチン(豚由来の場合がある)など、あらゆる加工品に及びます。
例えば、日本のカレーのルーやスナック菓子、インスタントラーメンのスープなどには、豚由来の成分が含まれていることが少なくありません。
もし相手がムスリムである可能性が少しでもある場合は、贈り物の原材料表示を必ず確認し、豚関連の成分が含まれていないことを確かめる必要があります。
相手の宗教が分からない場合は、食品、特に肉エキスを含む加工品を贈ること自体を避けるか、魚介類や野菜をベースにした製品、あるいは果物などを選ぶのが最も安全な方法です。
相手の信条を尊重し、誰もが安心して受け取れる贈り物を選ぶ配慮が、良好な人間関係を築く上で鍵となります。
味が合わない?抹茶や梅干しは避けるべき

日本の食文化を代表する抹茶や梅干しは、フィリピン人へのお土産として考えがちですが、実際には好みが大きく分かれるため、慎重に選ぶ必要があります。
日本の味覚では美味しいとされるものが、フィリピンの人々にとっては馴染みがなく、受け入れがたい場合が少なくありません。
日本の味覚とフィリピンの味覚の違い
フィリピンの食文化は、甘い味付けやはっきりとした味を好む傾向があります。そのため、日本茶の持つ繊細な苦みや渋み、梅干しの強い酸味、味噌の複雑な発酵風味は、彼らにとって「薬」や「腐ったもの」のように感じられることがあります。
以下の表は、特に好みが分かれやすい日本の食品とその理由をまとめたものです。
食品 | フィリピンでの一般的な反応 | 理由 |
味噌汁 | 不評なことが多い | 味噌の独特な風味と香りに慣れていないため |
抹茶味のお菓子 | 好みが分かれる | 苦みや独特の風味が万人受けするわけではないため |
梅干し | 非常に不評 | 強い酸っぱさが薬のように感じられることがあるため |
無糖のお茶 | 不評なことが多い | 甘くない飲み物に慣れておらず、薬の味と捉えられるため |
海苔 | 好みが分かれる | 独特の磯の香りと食感が受け入れられない場合があるため |
もちろん、日本食レストランに通い慣れている人や、日本文化に深い興味を持つ人の中には、これらの味を好む人もいます。
しかし、一般的に多くの人に喜んでもらうことを目的とするならば、これらの個性的な味の食品は避け、より万人受けするミルクチョコレートやシンプルなクッキーなどを選んだ方が、失敗のリスクを減らすことができるでしょう。
贈り物のマナーと注意すべきジェスチャー

フィリピンで贈り物を渡す際には、品物選びだけでなく、渡し方や関連するジェスチャーにも文化的な配慮が求められます。マナーを守ることで、相手への敬意をより深く示すことができます。
贈り物の渡し方
フィリピンでは、贈り物は両手で丁寧に渡すのが基本的なマナーです。これは相手への敬意を表す行為とされています。
また、プレゼントを受け取った際、その場ですぐに開封しないのが一般的です。これは、贈り物の価値よりも贈ってくれた気持ちを尊重し、後で一人でゆっくりと感謝を噛みしめるという文化的な背景があるためです。
もし相手がその場でプレゼントを開けなくても、がっかりしたり、催促したりしないようにしましょう。
注意すべきジェスチャー
日本では何気なく使うジェスチャーが、フィリピンでは全く異なる、失礼な意味に取られることがあります。
- 「おいで」のジェスチャー: 日本では手のひらを下に向けて手招きをしますが、フィリピンではこのジェスチャーは動物を呼ぶときや、相手を見下していると捉えられ、非常に失礼にあたります。人を呼ぶ際は、必ず手のひらを上に向けて手招きするようにしてください。
- 「OK」サイン: 親指と人差し指で輪を作る「OK」サインは、フィリピンでは「お金」を意味したり、侮辱的な意味合いを持つことがあります。肯定的な意思を伝えたい場合は、親指を立てるサムズアップのジェスチャーを使うのが安全です。
これらのマナーやジェスチャーの違いを理解しておくことは、円滑なコミュニケーションを図り、相手に不快な思いをさせないために不可欠です。贈り物という素晴らしい機会を、文化的な誤解で台無しにしないよう、細やかな心遣いを忘れないようにしましょう。
フィリピンのプレゼント|タブーを避ける選び方
- フィリピン人が喜ぶプレゼントの共通点
- フィリピン人が喜ぶ日本のお土産
- 女性が喜ぶ特別な誕生日プレゼント
- 結婚祝いで贈りたい実用的なアイテム
- チョコレートや甘いお菓子は定番人気
- まとめ:フィリピンで避けたいプレゼントのタブーとは
フィリピン人が喜ぶプレゼントの共通点

タブーを理解した上で、次に知りたいのは「では、どのような贈り物が喜ばれるのか」という点です。フィリピンの人々に心から喜んでもらえるプレゼントには、いくつかの共通した特徴が見られます。これらを意識することで、贈り物選びがより的確になります。
まず、フィリピンでは家族や友人との絆が非常に大切にされているため、家族みんなで楽しめるものが喜ばれる傾向にあります。
例えば、大容量のお菓子の詰め合わせや、みんなで分けられるフルーツのバスケットなどは、個人だけでなく家族全体への配慮が感じられるため、非常に好意的に受け取られます。
次に、実用性の高いアイテムも人気の選択肢です。日々の生活で役立つ高品質なタオル、デザイン性の高いキッチン用品、あるいは便利な文房具などは、暮らしを豊かにするものとして感謝されます。
ただし、前述の通り、高価すぎるものは相手に負担を感じさせてしまう可能性があるため、相手との関係性を考慮した価格帯のものを選ぶことが大切です。
そして、フィリピンの人々はロマンチックな演出や、気持ちをストレートに表現することを好みます。そのため、プレゼントに心のこもったメッセージカードを添えるだけでも、喜びは格段に増します。
物そのものの価値以上に、「自分のために時間と心を尽くして選んでくれた」という事実が、最高の贈り物となるのです。
フィリピン人が喜ぶ日本のお土産

日本からフィリピンへのお土産を選ぶ際には、「日本ならでは」でありながら、フィリピンの人の味覚や好みに合うものを選ぶのがポイントです。タブー品を避けつつ、喜ばれる人気のアイテムはいくつか存在します。
最も安定した人気を誇るのは、日本のチョコレート菓子です。特に「キットカット」はフィリピンでも知名度が高いですが、日本で販売されている多様なフレーバー(ストロベリー味や季節限定の味など)は珍しく、特別感があるため大変喜ばれます。
抹茶味は好みが分かれるため、フルーツ系やノーマルなチョコレート味が無難です。同じく、「メルティーキッス」のような口どけの良いチョコレートも好評です。
お菓子以外では、「カップヌードル」、特にシーフード味が人気です。フィリピンで販売されているものより、日本の製品の方が格段に美味しいと評判で、お土産として持ち帰るフィリピン人も多いです。少しかさばりますが、確実に喜ばれる選択肢の一つと言えるでしょう。
さらに、少し意外なところでは「すし太郎」のような、ご飯に混ぜるだけで手軽に日本食が楽しめる商品も、物珍しさから喜ばれることがあります。
ただし、使用方法が日本語表記のみの場合が多いため、渡す際に簡単な作り方を説明してあげると親切です。これらのアイテムは、日本の品質の高さと珍しさを兼ね備えており、多くのフィリピン人にとって魅力的なお土産となります。
女性が喜ぶ特別な誕生日プレゼント

フィリピンでは、女性の誕生日、特に18歳の誕生日は「デブー(Debut)」と呼ばれる、非常に盛大で特別な意味を持つお祝いが行われます。
この日は、女性が大人として社会にデビューする節目とされ、豪華なパーティーが開かれることもあります。このような特別な日には、それにふさわしい贈り物が喜ばれます。
フィリピンの女性は、アクセサリーを非常に好む傾向があります。特に、フィリピンでは女の子が生まれるとすぐにピアスの穴を開ける習慣があるため、ピアスは日常的な必需品であり、デザイン性の高いものを贈ると喜ばれます。
素材としては、資産価値も意識されることから金(ゴールド)製品が好まれることが多いです。ただし、指輪はプロポーズを意味する場合があるため、交際相手以外に贈るのは慎重になるべきです。
また、香水も人気の高いプレゼントです。香りに敏感な文化であり、上質な香水をまとうことはステータスの一つとも考えられています。相手の好みの香りを事前にリサーチできれば理想的ですが、分からない場合は、フローラル系やフルーティー系の、比較的万人受けしやすい香りを選ぶと良いでしょう。
さらに、ブランドの化粧品、特に口紅やアイシャドウなども実用的で喜ばれます。プレゼントを渡す際には、花束を添えたり、ロマンチックな言葉のメッセージカードを付けたりすると、より一層心のこもった贈り物となり、相手に深い感動を与えることができます。
結婚祝いで贈りたい実用的なアイテム

フィリピンでの結婚祝いは、二人の新しい生活のスタートを応援するという意味合いが強く、新婚家庭ですぐに役立つ実用的なアイテムが非常に喜ばれます。ご祝儀として現金を渡す習慣は日本ほど一般的ではなく、品物を贈ることが主流です。
定番で人気が高いのは、食器や調理器具などのキッチン用品です。デザイン性の高いペアのマグカップやグラス、使い勝手の良い鍋やフライパンのセット、あるいは高品質なカトラリーセットなどが良いでしょう。
これらは、毎日の食事の時間を豊かにし、長く使ってもらえるため、心のこもった贈り物として最適です。
また、新居での生活を快適にする日用品も喜ばれます。例えば、肌触りの良い上質なタオルのセットや、おしゃれなデザインのバス用品、インテリアに馴染む時計なども良い選択肢です。
欧米のように、新郎新婦が欲しいもののリストを公開する「ブライダルレジストリー」のシステムを利用しているカップルも増えています。もし、そのようなリストがあれば、そこから予算に合わせて選ぶのが最も確実で、相手が本当に必要としているものを贈ることができます。
リストがない場合は、二人のライフスタイルや好みを想像しながら、新生活の門出を祝福する気持ちを込めて、実用的かつ少し質の良いアイテムを選ぶことがポイントとなります。
チョコレートや甘いお菓子は定番人気

フィリピンで贈り物に迷ったとき、最も安全で、かつ多くの人に喜ばれるのがチョコレートや甘いお菓子です。
フィリピンの気候は一年を通して温暖なため、チョコレートは溶けやすく、現地では比較的高価な嗜好品というイメージがあります。そのため、質の良いチョコレートは「特別な贈り物」として高く評価されます。
特に、日本製のチョコレート菓子はその品質の高さと種類の豊富さで非常に人気があります。前述の通り、様々なフレーバーの「キットカット」や、冬季限定の「メルティーキッス」などは、その美味しさと希少価値から大変喜ばれます。
また、クッキーやラングドシャなどが詰め合わせになったアソートボックスも、見た目が華やかで、家族や職場の同僚など大勢で分け合えるため、手土産として非常に適しています。
注意点として、真夏の暑い時期に日本から持ち運ぶ際は、溶けてしまわないように保冷対策をするとより親切です。個包装になっているものを選べば、万が一少し溶けても形が崩れにくく、配りやすいという利点もあります。
フィリピンの人々は甘いものを好む傾向が強いため、日本の繊細で上品な甘さのお菓子は、彼らの口にとても合います。
味の好みが分からない相手や、大勢に向けた贈り物を選ぶ際には、チョコレートや甘いお菓子の詰め合わせを選んでおけば、まず間違いないと言えるでしょう。
まとめ:フィリピンで避けたいプレゼントのタブーとは
フィリピンの方へ贈り物をする際は、文化や習慣を深く理解し、相手への敬意を示すことが何よりも大切です。この記事で解説した重要なポイントを以下にまとめます。
✓ フィリピンの贈り物では物以上に気持ちが重視される
✓ ハンカチは涙や別れを連想させるためタブーとされる
✓ ネックレスは相手を束縛するという意味合いを持つことがある
✓ 靴やスリッパは相手が自分の元を去るという迷信から避けるべき
✓ 人前で注意や叱責をすることは相手のプライドを深く傷つける
✓ イスラム教徒の方には豚肉やアルコールを含む製品は厳禁
✓ 無糖のお茶は薬のように感じられ好まれないことが多い
✓ 抹茶や梅干しといった独特の風味の食品は好みが分かれる
✓ 海苔や刺激の強い食べ物も避けた方が無難
✓ チョコレートや甘いお菓子は非常に喜ばれる定番の贈り物
✓ 実用的な日用品やキッチン用品は結婚祝いなどで特に好評
✓ 18歳の女性の誕生日は「デブー」と呼ばれる特別な祝い事
✓ 贈り物は両手で丁寧に渡すのが基本的なマナー
✓ プレゼントはその場で開けず後で開封するのが一般的
✓ 文化や宗教への細やかな配慮が最も良い関係を築く鍵となる