
シンガポール旅行の計画中に、交通手段について調べていると「シンガポールの電車はクレジットカードで乗れるの?」という疑問が浮かびますよね。
特に、便利なタッチ決済が使えるのか、また電車だけでなくバスでも同様に利用できるのかは、スムーズな観光のために知っておきたい大切なポイントです。券売機で切符を買う手間や、慣れない現金のやり取りは避けたいもの。
この記事では、シンガポールでの電車移動におけるクレジットカードの利用方法から、万が一使えなかった場合の対処法まで、旅行者が知りたい情報を網羅的に、そして分かりやすく解説していきます。
この記事を読むことで、以下の4つの点について理解が深まります。
記事のポイント
- シンガポールの電車でクレジットカードを使う具体的な方法
- 利用可能なカードブランドや注意すべき手数料
- EZ-Linkカードなど他の支払い方法との比較
- クレジットカードが使えない場合のスマートな対処法
*本文中の金額は、2025年8月現在のものです。
*金額はS$(シンガポールドル)で表記しています。
シンガポール電車でのクレジットカード利用ガイド
- 改札で直接できるタッチ決済
- 対応している国際ブランドは?
- SimplyGoアプリでの利用履歴確認方法
- 海外発行カードの管理手数料
- 電車だけでなくバスでも使えるのか?
改札で直接できるタッチ決済

シンガポールのMRT(電車)では、「SimplyGo」というシステムが導入されており、お持ちのクレジットカードを改札機に直接かざすだけで乗車できます。
これは、日本の交通系ICカードのように、読み取り部にカードをタッチするだけで利用できる非常に便利な仕組みです。
このため、旅行者は駅の券売機で切符を購入したり、交通系ICカードへ事前にチャージしたりする必要がありません。財布からクレジットカードを一枚取り出すだけで、すぐに電車に乗ることが可能です。
具体的には、改札機のカードリーダーに、非接触決済(コンタクトレス決済)に対応したクレジットカードをかざします。
降車時も同じように改札機にカードをタッチすれば、乗車区間に応じた運賃が自動的に精算され、後日クレジットカード会社から請求される流れとなります。
対応している国際ブランドは?

シンガポールの電車やバスでタッチ決済を利用する際、対応しているクレジットカードの国際ブランドは主にVisaとMastercardです。これらのブランドの非接触決済対応マーク(リップルマーク)が付いているカードであれば、問題なく利用できると考えてよいでしょう。
また、これまで対応していなかったAmerican Express(アメックス)も、2025年5月より利用可能となりました。
注意したいのは、JCBカードです。現状、JCBのタッチ決済はシンガポールの公共交通機関システム「SimplyGo」に対応していません。そのため、JCBカードしか持っていない場合は、改札でタッチして乗車することはできないのです。
シンガポール旅行へ行かれる際は、VisaまたはMastercardブランドのクレジットカードを最低でも1枚は用意しておくことを強く推奨します。これにより、交通機関での支払いが非常にスムーズになります。
SimplyGoアプリでの利用履歴確認方法

クレジットカードのタッチ決済で電車やバスを利用した際の乗車履歴や運賃は、「TransitLink SimplyGo」という公式スマートフォンアプリで確認できます。
このアプリに自分のクレジットカード情報を登録しておくと、いつ、どの区間を、いくらで利用したのかが一目で分かり、交通費の管理が容易になります。
アプリを導入すれば、利用した交通機関、乗車・降車駅、時間、そして運賃の詳細な内訳を確認できるため、万が一過剰請求があった場合にも気づきやすくなります。
ただ、旅行者が利用する上での大きな注意点があります。それは、SimplyGoアプリのアカウントを作成する際に、シンガポールの電話番号(+65から始まる番号)での認証が必要となる点です。
このため、現地のSIMカードやeSIMでシンガポールの電話番号を取得しない限り、多くの旅行者はアプリにアカウントを登録して全ての機能を使うことが難しいのが実情です。
アプリをインストールできても、カードを登録して履歴を見る機能は利用できない可能性が高いので、この点はあらかじめ理解しておく必要があります。
海外発行カードの管理手数料

日本など、シンガポール国外で発行されたクレジットカードを電車のタッチ決済で利用する場合、管理手数料が発生することがあります。
これは、海外のカードを利用して決済処理を行うための費用で、多くの情報によると1日あたり0.60ドル程度が運賃とは別に請求される場合があります。
この手数料は、1回の乗車ごとではなく、その日に初めて利用した際に1日分として課金される仕組みのようです。例えば、1日に5回電車に乗ったとしても、手数料は0.60ドルのみとなります。
金額としては少額ですが、滞在日数が長くなるほど合計金額は大きくなります。例えば、5日間滞在して毎日クレジットカードを利用すると、合計で3.00ドルの手数料がかかる計算です。
この手数料を避けたい場合や、滞在が長期にわたる場合は、後述する交通系ICカード「EZ-Linkカード」の利用を検討するのも一つの方法です。短期旅行で利便性を最優先するならば、数百円の手数料で得られる手軽さは十分に価値があると考えられるでしょう。
電車だけでなくバスでも使えるのか?

クレジットカードのタッチ決済は、MRT(電車)だけでなく、シンガポールの公共路線バスでも全く同じように利用することができます。シンガポールの公共交通システムは「SimplyGo」によって統合されているため、一度慣れてしまえば電車もバスも同じ感覚で乗りこなせます。
バスに乗車する際、乗車口にあるカードリーダーにクレジットカードをタッチします。そして、目的地でバスを降りる際に、降車口のリーダーに再度カードをタッチするのを忘れないでください。
この2回のタッチによって乗車区間が確定し、正しい運賃が計算されます。もし降車時にタッチを忘れると、そのバス路線の終点までの運賃が請求されてしまう可能性があるので注意が必要です。
電車とバスで同じカードを使えるため、乗り換えも非常にスムーズです。例えば、MRTの駅から目的地まで少し距離がある場合でも、気軽にバスに乗り継ぐことができます。この柔軟性が、シンガポール観光の行動範囲を大きく広げてくれるでしょう。
シンガポール電車でクレジットカードが使えない場合
- 交通系ICカード「EZ-Link」
- 旅行者向け乗り放題ツーリストパス
- クレジットカードが使えない場合の対処法
- カードチャージには現金も用意しよう
- まとめ:シンガポールの電車はクレジットカードが便利
交通系ICカード「EZ-Link」

クレジットカードのタッチ決済以外で最も一般的な支払い方法が、交通系ICカード「EZ-Link(イージーリンク)カード」の利用です。これは日本のSuicaやICOCAのようなプリペイド式のカードで、MRTの駅窓口や一部のセブンイレブンなどで購入できます。
EZ-Linkカードの価格と仕組み
カードの販売価格は10ドルが一般的で、これには5ドルの返金されないカード発行費用と、5ドル分のチャージ額が含まれています。つまり、購入してすぐに5ドル分は交通費として利用可能です。
チャージ(トップアップ)方法
カードの残高が少なくなったら、駅の券売機でチャージ(現地ではトップアップと言います)できます。ただし、後述するように、日本のクレジットカードではチャージできない場合があるため、現金でのチャージも想定しておく必要があります。
メリットとデメリット
EZ-Linkカードを利用するメリットは、海外発行カード利用時にかかる1日約0.60ドルの手数料がかからない点です。長期滞在の場合は、このカードの方が経済的になる可能性があります。
一方、デメリットとしては、最初に5ドルの発行費用がかかること、そして残高を気にしながら都度チャージする手間が発生することです。また、MRTに乗車する際には、カード内に最低でも3ドル以上の残高が必要というルールもあります。
旅行者向け乗り放題ツーリストパス

シンガポールを短期間で集中的に観光する旅行者にとって非常に便利なのが、「Singapore Tourist Pass(シンガポール・ツーリスト・パス)」です。これは、指定された期間内であればMRT、LRT(軽量軌道交通)、そして路線バスが乗り放題になるフリーパスです。
料金は利用日数に応じて設定されており、1日~5日券の5種類があります。乗り放題機関が終わった後は、チャージすれば通常のEZ-Linkカードとして利用できます。他のサービスをバンドルしたタイプもあります。
パスの種類 | 利用料金 |
1日券 | 17ドル |
2日券 | 24ドル |
3日券 | 29ドル |
4日券 | 37ドル |
5日券 | 45ドル |
注意点として、このパスの「1日」は購入や利用開始から24時間ではなく、その日の公共交通機関の営業終了までを指します。例えば、夕方から1日券を使い始めると、その日の深夜までしか利用できないため、利用開始のタイミングを考えることが大切です。
また、セントーサ島へ渡るモノレール「セントーサ・エクスプレス」や、一部のプレミアムバス、深夜バスなどには利用できないため、その点はあらかじめ理解しておく必要があります。
1日に何度も電車やバスを乗り降りするアクティブな観光プランの方には、非常にお得な選択肢と言えるでしょう。
クレジットカードが使えない場合の対処法

万が一、改札でクレジットカードをタッチしても反応しない、あるいは決済が拒否されるといった事態に備えて、いくつかの対処法を知っておくと安心です。
まず考えられる原因は、持っているカードがVisaやMastercard以外の国際ブランド(例:JCB)であるケースです。前述の通り、JCBは公共交通機関のタッチ決済に対応していません。この場合は、別のVisaかMastercardのカードを試すのが第一の解決策です。
次に、カード自体に問題がある可能性も考えられます。磁気不良やICチップの破損、あるいはカード会社のセキュリティシステムが海外での急な利用を不審と判断し、一時的に利用をブロックしていることもあり得ます。
このような場合に備え、以下の対策を準備しておくことをお勧めします。
- 予備のカードを持つ: VisaかMastercardのクレジットカードをもう1枚、別の財布やバッグに入れて携帯しておく。
- EZ-Linkカードを購入する: 主要な駅の窓口などで交通系ICカード「EZ-Linkカード」を購入する。
- 現金を用意しておく: EZ-Linkカードの購入やチャージは現金でも可能なため、ある程度のシンガポールドル現金を持っておくと、いざという時に役立ちます。
慌てずにこれらの代替手段に切り替えられるよう、事前に準備しておくことがスマートな旅行の鍵となります。
カードチャージには現金も用意しよう

EZ-Linkカードを利用する際に注意が必要なのが、チャージ(トップアップ)の方法です。駅に設置されている券売機では、クレジットカードでのチャージも表示上は可能となっています。
しかし、日本で発行されたクレジットカードを挿入しても、エラーが出てしまい決済できないケースが報告されています。全ての日本のカードが使えないわけではありませんが、カード会社や券売機との相性によってはじかれてしまう可能性があるのです。
このため、EZ-Linkカードのチャージは現金で行うことを基本と考え、常にいくらかのシンガポールドルを用意しておくと安心です。
さらに、全ての券売機が現金チャージに対応しているわけではなく、各駅に1台か2台程度しか設置されていないことが多いようです。特に利用者が多い駅や時間帯によっては、現金対応の券売機に行列ができていることもあります。
残高が少なくなってから慌ててチャージするのではなく、余裕がある時にまとめてチャージしておくのが賢明な方法と言えます。
まとめ:シンガポールの電車はクレジットカードが便利
この記事のポイントをまとめます。
✓ シンガポールの電車(MRT)はクレジットカードのタッチ決済で乗車可能
✓ VisaとMastercardの非接触対応カードが利用できる
✓ JCBブランドのカードはタッチ決済に非対応
✓ 改札でカードをかざすだけで自動的に運賃が精算される
✓ このシステムは「SimplyGo」と呼ばれている
✓ 電車だけでなく公共バスでも同じように利用できる
✓ 日本など海外発行のカードは1日あたり0.60ドル程度の手数料がかかる場合がある
✓ タッチ決済以外の方法として交通系ICカード「EZ-Link」がある
✓ EZ-Linkカードは10ドルで購入でき、5ドル分がチャージされている
✓ EZ-Linkのチャージは現金を用意しておくと確実
✓ 旅行者向けには乗り放題の「シンガポール・ツーリスト・パス」も選択肢の一つ
✓ ツーリストパスは1日券から3日券まであり、デポジットは返金される
✓ クレジットカードが使えない場合に備え、予備のカードや現金を準備すると安心